道下美里が悲願の金「太陽が待っててくれた」ゴール直前に晴れ空 特別な東京大会締めた

 女子マラソン(視覚障害T12)の表彰式で、金メダルを手に笑顔の道下美里
 15キロ付近、雷門前を力走する道下
 24キロ付近、東京タワー前を通過する道下
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 「東京パラリンピック・女子マラソン(視覚障害T12)」(5日、国立競技場発着)

 マラソンは視覚障害T12の女子で前回大会2位の世界記録保持者、道下美里(44)=三井住友海上=が金メダルを獲得した。日本のメダルは金13、銀15、銅23の計51で、2004年アテネ大会の52に次ぐ総数となった。夜には国立競技場で閉会式が行われ、13日間の大会に幕を下ろした。次回2024年大会はパリで開催される。

 これが奇跡か。勝利の瞬間、新女王を祝福するかのように曇り空が急速に晴れた。暖かい光に包まれながら、道下がゴールに駆け込む。金メダルが決まると、ガッツポーズで喜び、伴走の志田淳さんと抱き合った。「太陽が出るのを待っててくれたんですね。天候さえも味方についてくれたんじゃないかな。本当に最後は全部味方だった」。勝利の女神に感謝するように、金メダルをぎゅっと握りしめた。

 世界記録保持者として、圧倒的なレースを展開した。2番手につけた25キロ。トップの海外選手をとらえると、30キロで引き離した。志田さんは「10メーター!」とあえて英語で声を張った。「びっくりしました」と道下。積極的な姿勢が、勝負を決定づけた。

 小学4年で膠様(こうよう)滴状角膜ジストロフィーを発症し、中学の時に右目の視力を失った。左目の視力もわずか。マラソンを始めたのは26歳。ダイエットのためだったが、次第にのめり込んだ。

 初出場の16年リオ大会は銀メダルに終わった。「5年前の忘れ物を取りに行こう」。東京大会は、そう決意してスタートラインに立った。国立競技場に戻ってきた時にはトップを独走していた。「これが夢に見た舞台。幸せだな」。初の頂点は最上の喜びだった。

 「自信を持ってスタートラインに立てたし、周りを全く気にせずに自分の走りができた。その環境を作ってくれたのは周りの仲間。そういう意味では100点満点ですね」。トレードマークの笑顔で、圧巻のレースに胸を張った。

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