二階幹事長「五輪中止も選択肢」“キングメーカー”の発言世界に波紋「タブー触れた」

 中止も選択肢-。自民党の二階俊博幹事長(82)は15日、TBSのCS番組収録で、新型コロナウイルス感染がさらに拡大した場合の東京五輪・パラ開催について「とても無理と言うならやめないといけない」と述べ、中止の可能性に触れた。その後、「何が何でも開催するのかと問われれば、それは違うという意味で発言した」と釈明したが、政府・与党の幹部が公式に「中止」に言及したのは初めてで、与党のトップの発言は世界にも急速に波紋が広がった。

 恐らく関係者の誰もがよぎってはいても、公式に口にしてこなかった可能性が、与党・自民党のトップから言及された。二階幹事長がTBSのCS番組収録で、新型コロナ感染がさらに拡大した場合の東京五輪・パラ開催について「とても無理と言うならやめないといけない」と述べ、中止も選択肢との考えを示し「五輪で感染をまん延させたとなれば、何のための五輪か分からない。その時の判断だ」とも語った。

 東京五輪開催で感染を広げてはいけないとの認識を示した発言とみられるが、政権幹部が中止の可能性に言及するのは異例。二階氏はすぐに「ぜひ成功させたいという思いだ。自民党として安全、安心な開催に向け、しっかり支えていくことに変わりはない」と釈明文書を発表したものの、発言については「何が何でも開催するのかと問われれば、それは違うという意味で発言した」とし、中止の可能性を否定しなかった。野党からは政府、与党で早急に決めるべきだとの意見が出た。

 波紋は瞬く間に世界に広がった。米ブルームバーグ通信は「日本が新たなウイルスの急増に苦しむ中、二階がタブーに触れる」とし、「五輪開催が不可能であると判断された場合、五輪をキャンセルしなければならないと述べた」とした。二階氏について「菅義偉が昨年首相に就任するために不可欠だったベテランの政治家」と、日本政界における“キングメーカー”としての存在の大きさも紹介した。豪ABCなども「日本の与党幹部が今年の五輪のキャンセルが選択肢として残っていることを認めた」と、速報した。

 二階氏は開催について「日本にとって大きなチャンス。国民の同意を得て、盛り上げていくのは大事だ」と訴えているが、最新の世論調査でも中止、再延期という今夏の開催に否定的な意見が7割を超えており、政府・与党内にもじわりと悲観論が広がりつつあると見られる。

 第4波に突入したとみられるコロナ禍で、収束の気配はいまだみられず、ワクチン接種も遅れている。5月のゴールデンウイークを前に各地で都道府県をまたぐ移動や不要不急の外出の自粛の要請も出てきた。このままでは夏休みも…。大会関係者は「外出するな、家で五輪を-では誰も納得しない」と感染拡大に歯止めがかからない状況を嘆く。五輪開幕まであと100日を切った中、夢舞台の行方は再び潮目を迎えた。

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