阿部一二三連覇で初の兄妹同時世界一 妹に向かって拳突き上げた

 「柔道・世界選手権」(21日、バクー)

 阿部兄妹が、日本柔道初の兄妹同時優勝を果たした。女子52キロ級で初出場の阿部詩(18)=兵庫・夙川学院高=は5試合オール一本勝ちの圧倒的な強さで優勝。男子66キロ級の阿部一二三(23)=日体大=は2連覇を達成した。

 スタンドにいる妹に向かって笑顔で拳を突き上げていた。阿部一二三はやっぱり強かった。決勝も一本勝ちで連覇達成。そしてその瞬間、阿部兄妹の強さも世界に証明した。日本勢では史上初となる兄妹同時制覇だ。

 「(直前に詩が優勝して)次は自分しかないと思った。2連覇をすること以上に兄妹での優勝が目標だった」と胸を張る。「圧倒的に勝つ」。妹の前で、何度も繰り返してきたフレーズ通りの試合を実践した。

 連覇の背景には国際大会では2015年以来3年ぶりに喫した、7月のグランプリ・ザグレブでの「1敗」があった。モンゴル選手に一本負けし、国際柔道連盟(IJF)は「連勝が34で止まった」と衝撃的に報じた。一二三は「一番は気持ちの問題。相手に合わせすぎていた。研究してくるなら、それを超えればいい。練習から常に一本を取りにいく」。積極的に一本を取りにいく本来の攻撃柔道へ回帰した。

 一二三はザグレブでの敗戦後に詩と顔を合わせたときのことを覚えている。「悔しがっていた。笑うのかと思ったけど。『悔しがるんだ』と」。誰よりも勝利にこだわる兄妹。刺激し合い支え合う絆が、強さの源泉だ。

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