阿部兄妹が初の同時世界一 初陣の詩、ヤワラちゃんに次ぐ年少Vオール一本で決めた

 「柔道・世界選手権」(21日、バクー)

 阿部兄妹が、日本柔道初の兄妹同時優勝を果たした。女子52キロ級で初出場の阿部詩(18)=兵庫・夙川学院高=は5試合オール一本勝ちの圧倒的な強さで優勝。決勝は日本勢対決となり、昨年覇者の志々目愛(24)=了徳寺学園職=を豪快な内股で下した。18歳2カ月での世界一は、日本女子では1993年ハミルトン大会を18歳0カ月で48キロ級を制した田村亮子(現姓谷)に次いで史上2番目の若さ。男子66キロ級の阿部一二三(23)=日体大=は2連覇を達成した。

 待ちに待った大舞台で、18歳のホープが躍動した。鮮烈な投げ技を連発し、阿部詩が世界の頂点に立った。「周りが驚くダイナミックな柔道をする」。兄の一二三にも負けない、見る者をわくわくさせる快進撃で狙い通りの結果をつかみ「今年に入って一番うれしい。すごく自信になる」と頬を緩めた。

 両袖を絞られても、構わず袖釣り込み腰で相手を担ぐ豪快さは兄そっくり。「お兄ちゃんの技を見て、自分風にアレンジしてきた」と言う。世界ランキング1位のブシャール(フランス)との準決勝はわずか26秒で腕の関節をきめ、場内をどよめかせた。志々目との決勝は延長までもつれたが、最後は豪快な内股で一本を奪った。

 小学生時代から指導する兵庫・夙川学院高の松本監督によると、当初は「練習嫌い」だったという。道場に来ても、壁にへばりついて「絶対やらへん」と動かない。ただ、ひとたび畳に上がれば抜群の集中力を発揮するのは昔から。「大舞台になるほど光る。天賦の才」と驚きを隠さない。

 開幕直前には「緊張は全然ない。本当に試合前なのかな?」と平然と言ってのけ、「期待されなかったら面白くない」と注目を力に変える。魅力たっぷりのニューヒロインは有言実行の5試合を勝ち抜き「普通の国際大会と変わらなかった」と言い放った。

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