「1イニング15失点」…忘れられない交流戦 野球の怖さ思い知らされた
今年の交流戦はいきなり6連敗を喫したカープ。なんとか3カード目の日本ハム戦で一つ勝ち、続くオリックス戦ではカード勝ち越し。徐々に状態が上向いてきました。
04年の球界再編問題をきっかけに05年から始まった交流戦。最も記憶に残っている試合を問われると、やはりあの試合になります。2009年6月11日のロッテ戦(千葉マリン)。1イニング15失点を喫し、2-23で敗れた試合です。今も1イニング15失点は、プロ野球記録です。
六回裏でした。三回途中から登板していた2番手の小松が安打を許したのが始まりです。
ロッテ打線がどんどん安打を重ね、もうどうにも止まらない。ブルペンで待機していた私は「アウトを取れないんじゃないか?」と思ったくらいです。当時、私は勝ちパターンで投げていたんですが、自分も投げなければいけないかもと考えたほどでした。結果的には投げませんでしたが、他の投手もみんな準備を始めていました。
六回裏だけで約50分を要しました。アウトを取らなければ試合が前に進まない状況。もう逃げも隠れもできないので、本当に野球の怖さを思い知らされた試合でした。その日は私の誕生日でもありましたし、背番号「23」と同じ23点を取られた試合でもあるので、今も忘れられません。
私は最初の交流戦から経験しています。当時、世間では「人気のセ・リーグ、実力のパ・リーグ」と呼ばれていました。スマートフォンでも試合を見られる現在とは違い、試合を見る方法が限られていた時代。パ・リーグの選手は、目の色を変えて、セ・リーグには負けないぞと臨んで来ていたという印象を持ちました。打つこと、投げること、どちらもすごくレベルの高い選手がいたというイメージです。
一番の違いは、やはりDH制の採用です。投手が打席に立つセ・リーグとの対戦では9番打者は休みの打順。でも、パ球団の本拠地での試合はそうではなくなります。どの打順も気が抜けないのは本当に大変です。
打撃に特化した選手が起用されるDHでは、特に外国人選手の存在感が際立っていました。ソフトバンクはズレータ、ロッテはベニー、西武はカブレラなど、少しでも制球を間違えばスタンドに運ばれるというのは恐怖でしかありません。
グラウンドの外に目を向けると、セ・リーグとの対戦では行くことがない、北海道や仙台に行けるのは楽しみでした。北海道では海鮮やラーメンをおいしくいただきました。やっぱり、北海道で食べる海の幸の味は格別です。それがモチベーションの一つにもなっていて、「交流戦までは絶対に1軍にいるぞ」と思っていました(笑)
今年の交流戦も最終盤です。カープも今後の戦いに希望をつなぐためにも1つでも多く白星を挙げられるように頑張ってほしいと思います。(デイリスポーツ評論家)
◇横山竜士(よこやま・りゅうじ)1976年6月11日生まれ、49歳。福井県勝山市出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。178センチ、80キロ。福井商時代は甲子園出場はなかったが、1年秋からエースとして活躍。94年度ドラフト5位で広島に入団。97年に中継ぎながらプロ初勝利を含む10勝を挙げる。先発、中継ぎ、抑えと幅広く活躍し、プロ20年目の2014年に現役引退。通算成績は507試合に登板、46勝44敗17セーブ110ホールド、防御率3・42。20年から昨季まで広島で投手コーチを務めた。
