広島・辰見 代走盗塁プロ野球新記録の26!九回佐藤啓に代わり登場、気迫ヘッスラで決めた 「今日決められて良かった」
「ヤクルト4-9広島」(15日、神宮球場)
広島・辰見鴻之介内野手(25)が、代走盗塁のプロ野球新記録を樹立した。6-4の九回だ。四球を選んだ佐藤啓の代走として登場し、1死一塁で中村奨が打席に立った場面で二盗を決めた。代走での盗塁を26個に伸ばした。3日の中日戦で25個目を決め、1979年に藤瀬史朗(近鉄)が打ち立てた代走でのシーズン最多に並んでいた。残り17試合。どこまで記録を伸ばすか注目だ。
神宮のグラウンドを、辰見が駆け抜けた。力強い一歩一歩に、球場が沸く。九回1死一塁。ヘッドスライディングで二塁を奪った。「相手の守備の人と頭がぶつかっちゃって。痛いなというのが一番でした」と表情を崩す。代走で今季26個目の盗塁を記録し、代走盗塁の歴史を塗り替えた。
先頭・佐藤啓が四球を選んだ直後、出番が来た。続く菊池が直球3球で空振り三振に倒れた打席では、一歩目を踏み出せなかった。「菊さんの打席を無駄にできないなと思って、腹を決めてスタートを切りました」。中村奨の打席の初球。47年ぶりにプロ野球新記録を塗り替えた。
大型ビジョンで記録達成が祝福される中、記念ボードを掲げた。
3日の中日戦でタイ記録となって以降、球団はビジターでの新記録達成も想定し記念ボードを用具車に積んでいた。「だいぶ前からボードも見せられていた(笑)。申し訳ないなと。今日決められて良かった」。ホッと胸をなで下ろした。
球界屈指の走塁の達人として警戒されるが、才能は遅咲きだった。足が速い方ではあったが、中学時代を振り返っても「自分より足の速い子が普通にいました」。高校時代も、自身の足が武器だとは思っていなかった。
転機は西南学院大2年。秋のリーグ戦で10盗塁を決めた。監督から「おまえは足を武器にできる」と告げられ、本格的なトレーニングを開始。着目したのは、自身の身体の構造と運動そのものだった。
「自分の身体を思った通りに動かせるようになること」。「その中でマックスの力を出し、さらにその上限を引き上げること」。本質的なテーマに興味を持って以降、単なる筋力トレではなく、理想の動きを再現するためのアプローチにも力を入れた。
「こんな動きがしたい」。そのイメージを明確に持ち、逆算して必要な動きやトレーニングを選択した。探究心と、愚直なトレーニングの積み重ねにより、グングンとスピードを伸ばし続けてきた。
「30個までは行きたいとは思いますけど、数字にとらわれ過ぎないように。一日一日を積み重ねていきたい」。応援団からの「辰見!辰見!」の大合唱に、何度も帽子を取って頭を下げた若鯉。残り17試合。辰見が刻む一歩一歩から、一瞬たりとも目が離せない。
◆辰見鴻之介(たつみ・こうのすけ)2000年11月24日生まれ、25歳。福岡県出身。176センチ、67キロ。右投げ右打ちの内野手。香住丘-西南学院大を経て22年育成ドラフト1位で楽天入り。23年7月に支配下昇格を果たした。24年オフに育成契約となったが、25年7月に支配下へ復帰。同年オフ現役ドラフトで広島に移籍した。
