【安仁屋宗八氏の眼】広島の椅子取りゲーム 名手菊池の後ガマに育成出身の前川が急浮上「肝がすわった選手」

 「中日2-0広島」(9日、バンテリンドーム)

 広島が完封負けを喫し、中日と入れ替わって5位に転落した。しかし、育成出身の前川誠太内野手(22)が2試合連続のスタメン起用に応えるヒットで明るい材料を提供。デイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏は「バッティングがいい。守備もいい。根性もいい」と“三拍子”そろった若手の将来性に期待した。

  ◇  ◇

 難敵の高橋宏攻略を目論んで広島は左打者を中心に打線を組んだが、前川は右打者でありながら6番でスタメン起用された。ファビアンや末包も外れていることを考えると、彼に対するベンチの期待は相当高いように感じたね。

 (この試合、広島は1番の大盛から2番・羽月、3番・野間、4番・坂倉、5番・秋山まで左打者を並べ、6番に前川を入れて7番・モンテロ、8番・矢野、9番・森下の順。前川への期待の高さがうかがえた)

 前川は実際にこの日もヒットを打って、さらに存在価値を高めた。1軍経験のなかった選手が毎試合のように結果を出すなど簡単なことではないからね。

 (前川は七回の3打席目に一死一塁から中前打を放ってこの日は4打数1安打。計9打数4安打3打点)

 彼は肝がすわっているのか表情が変わらない。自分のペースを乱すことなくプレーしている。打席での粘りもある。バッティングがよくて守備もいい。根性があるし、何より野球センスがいいね。

 (前川は7月28日に支配下登録され、8月5日に1軍昇格。同日のDeNA戦は代打出場で凡打したが、7日の同戦で代打からプロ初安打初打点となる右越え2塁打を記録。8日の中日戦は8番・二塁で先発起用されて3打数2安打2打点の活躍で勝利に貢献した)

 気になるのが菊池との絡みだが、新井監督は菊池本人と直接、今後の起用に関する話をしているようだ。菊池はベテランらしく“自分は与えられた仕事をするだけ”と言っているらしい。あとは前川自身がどこまで伸びるかだけど、本当に楽しみな人材ではあるね。

 先発した森下は、ここ2試合の登板とは違って気合いが入っていたし、粘り強く投げていた。

 ただ残念だったのは初回二死一、二塁からボスラーのファウルフライを坂倉が落球し、その後ヒットを打たれて失点したシーン。

 ミットの“どて”に当てて落としてしまったのかな。あれは取ってほしかったね。一塁手の守備範囲だったかもしれないが、落下地点まで行っているのだから。

 この日で森下自身8連敗。しかし、それほど悪い内容ではないが、少し変化球が多いように感じたのは確か。それと内角への攻めも少ないと。

 カウントで追い込んでからでも、その傾向が強かった。だから逆方向へのヒットが目立った。次からは内角の直球を増やすことを意識したほうがいい。

 勝負におけるベンチ采配という点で“おやっ”と思ったのは七回の攻撃だったね。一死満塁で矢野が打席を迎えた場面。あそこはベンチスタートとなっていた小園を代打に送って勝負をかけてもよかったんじゃないか。

 結局、矢野が倒れたあと、二死満塁になったところで森下の代打に小園を使ったわけだから。一手遅かったように思ったね。

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