広島・菊池 若ゴイに感じる寂しさ「バカみたいに声出す選手いない」 安仁屋氏と春季キャンプ特別対談
広島・菊池涼介内野手(34)と、デイリースポーツ評論家で広島OBの安仁屋宗八氏(80)が春季キャンプ特別対談。若手主体の野手が猛練習に励んでいる今キャンプ。調整を一任されている菊池は何を見て、何を感じているのか。頭を占めるのはチームを第一に思う気持ち。契約更改時に強調した「変化」についても言及した。
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安仁屋「今の若手はアピールしようという気持ちが足りないかもしれないね」
菊池「バカみたいに声出して『お願いします!』っていう選手もいないし。僕らって、良い意味でバカやるやつが多かった。丸もそうだし、(田中)広輔も安部も」
安仁屋「同世代で燃えるところがあったよね。そのぐらいの闘争心を今はあまり感じない。それを植え付けてほしいな」
菊池「だから契約更改の時に『言えなかったことを言う』と発言したのはそういうことです。僕は好かれようと思ってないし、思ったこと、感じたことを言っていきますって言ったって、これまではなかなかシーズン中は言えなかった。守備のミスして打撃にも影響する選手もいるし、『あの時のこのプレーってこうだろう』って言ったら、今度はシュンとなって動けなくなる選手の方が今は多いと思います。だから、なかなか言えなかったんですけど、やっぱり言っていかないと分からないと思いました」
安仁屋「新井監督は昨季の最終戦後のあいさつで『変化』『痛み』という言葉を口にしたよね」
菊池「監督が最終戦が終わってから言ったあの一瞬で『あっ、変わるんだな』って、僕らはそう思ったので。そこで何人の選手がハッとしたかですよね。プロで十何年やっていたら、ああいう監督の一言に敏感になります。そういう敏感な選手がどれだけいるのかなという。あの発言の意味をくんでやっている選手が何人いるのかなっていう寂しさが少しあったりっていうのは正直なところです。僕は今、(若手と)やっている練習が違うので、体の感じとか分からないし、今どきの子の感覚がちょっと分からないですけど、僕と秋山さんは2人で『寂しいな』っていう、やっぱり同じことを思ってました」
安仁屋「その厳しさ、思いを伝えていくのが秋山と菊池の役割だと思う。やっぱり実績がある人が言ったら、みんなにも響くんじゃないかな」
菊池「秋山さんなんかノックでも1個そらしたり、低いボールを投げただけで今でも『あー!』とか言っている。そういうのをどう感じるか。それだけ正確にやりたい、完璧にやりたいと思ってノックを受けてるってことが表れているわけだから。それをふわっと受けてるようじゃダメ。今は春ですから。その1個のミスが点につながったりするっていう、経験をしてない選手もいっぱいいるので難しいですけど、メジャーまでいったり、実績ある人が1個の送球ミスで『あー!』って言ってるのを見たら、感じるものがあってもいいとは思います。僕はそういうふうに見ています」
安仁屋「新井監督の変化を感じ取る部分はここまでであった?」
菊池「どうですかね?絡みがまだ少ないし、会う時って(ランチ)特打の時に会うぐらい。でもその特打を一応見てもらっていて、あそこが『監督、まだいけますよ!』っていうお披露目の舞台になっていました。弱い打球だったら、『ああ、こいつぬるいな、変わってないな』って感じると思うんです。その中で僕と秋山さんはパチパチ普通に打つので、僕らも目の色変えてやってますよっていう意思表示の舞台がようやく設けられるのが、お昼です(笑)。やることやってなければ、あそこでいい打球も打てない。まだ強度はマックスではないですけど、段階を踏んで上がっていってるっていう感じです」
-チームの外から見る分には、若手の熾烈(しれつ)な競争が行われていると思っていた。
菊池「いや、僕からしたら競争できてないです」
安仁屋「菊池と秋山の言動を感じ取っている選手もいると思う。だから声に出して言ったらいいと思うし、今年もチームを引っ張っていって」
菊池「(若手は)いいイメージつけたら(試合に)出られるんやでっていう話なんです。『沖縄連れて行ってもらって、そこでまた結果を残したらオープン戦にも連れて行ってもらって、そこでも結果を残せれば開幕1軍だよ』っていうチャンスの切符をもらっているのにって感じですね。僕からすると」





