カープ河野 目指すスライダー完全習得 右打者対策で着手、来季飛躍へ鍛錬の秋

 投球後、黒田博樹球団アドバイザーから指導を受ける広島・河野佳=日南
 黒田博樹球団アドバイザーが見る中、投げ込む河野=日南(撮影・田中太一)
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 秋季キャンプに参加している広島・河野佳投手(22)が新球の完全習得を目指している。新たにスライダーを覚え、精度向上を図る日々。キャンプのブルペンでは打席に立った新井貴浩監督(46)から打者目線でのヒントももらった。2年目の来季に向けて、さらにレベルアップを図っていく。

 この時期にしかできない取り組みで、己を高めている。河野は現在、スライダーの完全習得にチャレンジだ。秋季キャンプ初日の6日には早速ブルペン入りし、約70球を投げ込んだ。スライダーに着手した理由には「右打者への決め球、速い変化(の変化球)しかなかった」と明かした。

 ルーキーイヤーの今季は8試合に登板するも0勝1敗で防御率9・49。計12回1/3を投げて6被弾と、一発を浴びる場面が多かった。被打率は対左打者が・300に対し、右打者には・394、5本塁打と大きく跳ね上がる。そこを課題と受け止め、スライダーを武器にする運びになった。

 同日のブルペンでは打席に新井監督が立って、球筋を確認してくれた。「(軌道が)膨らんだスライダーが打ちやすいわけではないと教えてもらった」と河野は今後への指針をもらった。

 直球の軌道から右打者の外角に鋭く曲がるスライダーもある。リリースの瞬間から大きく曲がるスライダーは打者に変化球だと早い段階で察知されるケースも多いが、一概に当てはまらないと指揮官は言う。

 「投手は河野だけに限らず、変化球が膨らむのを嫌がる投手が多い。打者目線からしたら膨らむことが嫌な場合もある。ベース板を広く使えるでしょ」

 直球と同じ軌道からのカットボール、スライダーなどは打ちに行く時に「イメージしやすい」と新井監督。「スライダーだと、投げミスでパンと膨らんでも打者は目線が変わるから、けっこう嫌。膨らむことを極端に嫌がる必要はない。打者目線からそういうことを伝えた」と方向性を示し、背中を押した。

 黒田球団アドバイザーからはツーシームの握りも教わり、キャッチボールから投げる感覚を養っている。来季の飛躍に向けた助走期間となる鍛錬の秋。「結果だけにとらわれず、今やっていることに対して、しっかりトライできたらいい」と河野。新たな武器を成長への一助にしていく。(向 亮祐)

 ◆河野 佳(かわの・けい)2001年8月23日生まれ。兵庫県加古川市出身。投手。右投げ右打ち。身長175センチ、体重82キロ。小学5年時に広島に移り、中学時代は広島南シニアでプレー。広陵に進学し、3年春のセンバツにエースとして出場。卒業後は大阪ガスに進み2年目に最多勝、最優秀防御率、ベストナインの3冠。2022年度ドラフト5位で広島に入団。

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