広島・鈴木誠 見たかった7戦連続弾 4打席で2四球 進撃止まって連勝ならず

 7回、三ゴロに倒れた鈴木誠(撮影・立川洋一郎)
 5回、申告敬遠で歩かされる鈴木誠(撮影・飯室逸平)
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 「広島1-4阪神」(10日、マツダスタジアム)

 1972年・王貞治(巨人)、86年・バース(阪神)が持つプロ野球記録の7試合連続本塁打に王手をかけていた広島・鈴木誠也外野手(27)は、史上3人目の快挙達成を逃した。2打数無安打2四球で連続試合本塁打は6でストップ。それでも球団タイ記録という偉業を成し遂げた主砲が、次戦から再びアーチを量産する。

 言葉にならない願いとともに、ひときわ大きな拍手が鈴木誠に注がれた。ファンの思いを背に向かった第4打席は2点を追う七回。2死一塁と一発出れば同点の場面だった。

 期待と興奮が球場全体を支配する中、及川の前に三ゴロに倒れた。こみ上げるのは大記録達成を逃したことより、チームが敗れた悔しさ。「負けたので、仕方ないです」と唇をかんだ4番。だが赤ヘル軍の歴史に名を残した足跡は、決して色あせることはない。

 序盤から、異様な雰囲気に包まれていた。6戦連発中、実に5試合連続で1打席目にアーチを描いており、注目の初打席は初回1死一、三塁の好機で迎えた。初球から胸元に厳しい球を2球続けられ、6球目を見極めて四球で出塁した。三回は2死一塁から7球目を打って遊ゴロ。そして同点の五回2死二、三塁で打席が巡ると、スタンドのボルテージは最高潮に達した。

 しかし、ここは阪神ベンチが申告敬遠を選択。球場のファンからは思わずブーイングが起きたが、背番号1は淡々と一塁に歩いた。全4打席で甘い球はほぼなく、低めを厳しく突かれた結果、2打数無安打2四球。佐々岡監督は「なかなか勝負しない場面はあるだろうな、と考えていた」。朝山打撃コーチも「仕方ないよね」と振り返り「また切り替えて明日、やってほしい」と背中を押した。

 前日は今季5度目の1試合2本塁打で、プロ野球記録の7試合連続本塁打にあと1試合に迫った。それでも本人は「本当に今は偶然、奇跡に近い感じなので、これが続くと思わない」と慢心はなかった。

 優先するのは個人記録ではなく、チームの勝利。周囲がプロ野球史に名を刻む夢を膨らませる一方、野手主将は「そんなことを言っている場合ではない。僕はもう毎日必死で打たないと、という感じ」とチームのために身をささげる姿勢を、改めて強調していた。

 現状に満足せず、日々最善の準備を施して新たな戦いに身を投じるスタンスは変わらない。鯉の4番は勝利の二文字だけを追い求め、再スタートを切る。

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