鈴木誠也 侍4番待望1号は反撃のろし弾 高校恩師が回顧する「忘れられない言葉」

 「東京五輪・野球・準々決勝、日本7-6アメリカ」(2日、横浜スタジアム)

 横浜の夜空に白球が舞い上がった。打球は長い滞空時間を経て左中間席の最上段で弾む。広島・鈴木誠也外野手(26)だからこそ描ける力強い放物線。待望の今大会初安打が初本塁打だ。

 「ああいう最高の形になって良かった」

 3点を勝ち越された直後の五回だ。先頭で打席に立ち、元日本ハム・カーターが投じた高めの直球を強振した。手に残る最高の感触。塁を回る前には「ヨッシャー」と雄たけびを上げた。

 もがき、苦しんだ。1次リーグで結果を出せず、8打数無安打でこの日を迎えた。4番を任されながらスタメンで唯一、安打なし。開幕前には「打撃の状態はクソですね」とこぼしたこともあった。1、2打席目は無安打。それでもチームが逆境に立たされた通算12打席目で、響かせた快音だった。

 さらに1点を追う九回1死から、追い込まれながらも外角球をきっちり見極め四球をゲット。土壇場で4番が追い上げムードをつくり、チーム一丸で諦めない姿を体現した。

 幼少期から誰よりも野球に打ち込んできた。二松学舎大付の市原勝人監督(56)は、広島入団が決まり施設見学を終えた鈴木誠の声が今も忘れられない。

 「『いつでもバッティングできるんですよ!』と喜んで帰ってきましてね。(練習を)やりたくて仕方ないんです。好きだから研究する。一番の魅力は野球が大好きなこと、それが一番の武器です」

 優れた運動能力に加えて努力を怠らないという才能があった。広島でキャリアを積んでもそれは不変。今キャンプでも新しい打撃スタイルに挑戦した。飽くなき向上心が、鈴木誠を支えている。

 「久しぶりに興奮する試合で楽しかった」-。日本の4番が、その一振りで重いムードを振り払い、チームに上昇気流をもたらした。悲願の金メダルへ向け、鈴木誠が険しい道を切り開いていく。

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