広島・永川 引退登板 不屈の守護神に贈るサヨナラ勝ちでCS王手

 「広島4-3中日」(23日、マツダスタジアム)

 通算165セーブの球団記録を持つ広島・永川勝浩投手(38)が17年の現役生活に別れを告げた。15年ぶりの先発登板で1番・大島を一ゴロに抑えると、試合後に行われた引退セレモニーでは目を潤ませた。チームは永川の引退試合に花を添えるかのように、球団新記録のシーズン12度目のサヨナラ勝ち。CS進出に王手をかけた。

 プロ17年間の思いが目に光る涙へと表れた。3万1967人がスタンドに集まった真っ赤に染まる本拠地。マウンド前方に置かれたマイクの前に立った永川は時折声を詰まらせながら家族や球団、歴代首脳陣らに感謝し、引退のあいさつをした。

 「最高の広島ファンと一緒に17年間やれたことを誇りに思い、現役生活を終えようと思います。いろいろありがとうございました」

 最後のマウンドは柔和な笑みで終えた。長女の始球式を見届けると、04年10月10日・横浜戦以来15年ぶりに、打者1人限定で先発登板。中日の1番・大島と全球141キロの直球勝負。最後はカウント1-1から一ゴロとし、自らベースカバーに入りアウトを取った。

 代名詞のフォークこそ繰り出されなかったが、「今までで一番緊張しました。ホッとしてますよ。無事に(2番手の)大瀬良がいい形で入れて良かった」。指揮官も「与田さんにも『真剣勝負でお願いします』と伝えていた。1つのアウトを取ってチームの勝利に貢献してくれたことは間違いない。良い形で送り出せたんじゃないかな」と目尻を下げた。

 02年度ドラフト自由枠で亜大から入団。当時の山本浩二監督に1年目から抑えを託された。「この17年間というのは、その最初のスタートがあったからこそだと思う」と感謝。1年目は25セーブ、07年からは3年連続30セーブを記録するなど、球団最多の165セーブを積み上げた。

 10年に内転筋を痛め、「今思えばそこで終わってたんだろうな」と振り返る。17年は左膝のクリーニング手術も行ったが、18年に2年ぶりの1軍登板を果たすなど22試合でマウンドに上がった。ただ今年は試合で思うような力を発揮できなかったこともあり、「総合して心が折れたというところ」と球団投手最年長は第一線から身を退く決断に至った。

 現役最後となった一戦はサヨナラ勝ちで、大瀬良ら後輩たちに水を掛けられるサプライズもあった。セレモニーでは5度、宙を舞った。「本当に最高のチームであり、本当にいい子たち、いい先輩たちに恵まれたなと思っています」と広島一筋17年間を振り返った背番号20。濃密な現役生活が、晴れやかに幕を閉じた。

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