広島スカウト陣 原石発掘へ能力以外の重要ポイント「育成のカープ」の根源は?

 ぶっちぎりの強さで球団史上初のリーグ3連覇を飾った広島カープ。阪神をはじめとする他球団を寄せ付けなかった強さの秘密はどこにあるのか。デイリースポーツの広島取材班が3連覇を飾った裏側に迫る。

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 過去2年に続き、生え抜き選手がずらりと並び、成し遂げた球団史上初の3連覇。ドラフト上位指名のみならず、松山(07年大学生・社会人ドラフト4巡目)や中崎(10年ドラフト6位)、西川(15年同5位)、アドゥワ(16年同5位)ら下位指名選手も表舞台で輝く。その原石たちを発掘した、先見の明を持つスカウト陣の尽力も計り知れない。苑田聡彦スカウト統括部長は「気持ちと体力。うちの練習でうまくなってくれた」と育ったナインを見ながら目を細めた。

 「育成のカープ」の根源は-。ドラフトの基本方針は、野手ならば肩の強さと足の速さを重要視し、投手ならば大学生や社会人は主に即戦力、高校生は3、4年後を見据え高身長など素材重視。高校通算本塁打数などの結果は試合数の違いや球場の大小もあるため参考にはしないが、苑田スカウト統括部長は「性格は見る」と能力以外での重要ポイントを明かす。

 各地域の担当スカウトは随所で性格把握への糸口を探る。鈴木や田中の獲得に携わった尾形スカウトは「体の強さ」を求めた上で「1球目から振りにいけるか、打たれた時どういう態度を取るか」という。松本スカウトは獲得に携わった西川を例に「(所属した社会人野球チーム・王子の)監督にもよく練習するって聞くし、カープは練習ができる体がないとついていけない。1人でもやるタイプと聞いていた」。選手の人間性を把握するため、何度も足を使って金の卵発掘に努めた。

 15年度5位だった西川の場合、ほれ込んだ末の“先取り”が奏功した。柔らかいバットコントロールは松本スカウトが重要視する一つの「野球センス」にも当てはまっていた。当時高卒から社会人3年目。翌年まで待つと大卒と同学年になってしまうことを懸念し、「(翌年になると他球団の評価が)2位、3位になると。育つ前にお願いして獲ってもらった」と明かす。結果1年目から1軍で頭角を現した西川は、今季恐怖の下位打線形成に貢献。優勝に必要不可欠な戦力となった。

 次から次へと生え抜き選手が台頭し、他球団を圧倒する選手層の厚さが呼び込んだ3連覇。それはスカウト陣の不断の努力が結実した瞬間でもあった。=おわり=

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