“石井マジック”で松山同点弾&会沢2発 広島3発3連勝でヤクルト一気飲み
「ヤクルト2-9広島」(3日、神宮球場)
広島打線が復調の兆しを見せ、ヤクルトに3連勝を決めた。石井琢朗打撃コーチによるアンダースロー山中対策がズバリはまり、二回に松山竜平外野手、会沢翼捕手の本塁打で逆転した。5日からは本拠地マツダスタジアムで2位阪神との3連戦。この日、阪神が敗れ、6・5ゲーム差に広がったが、リーグ連覇へ油断なし。元気を取り戻した鯉が虎を一気に突き放す。
広島にとっては今年最後の神宮球場。応援歌「宮島さん」の大合唱が鳴り響いた。「ワッショイ!ワッショイ!」の大きな歌声の中、ナインは笑顔で球場を後にした。低調気味だった赤ヘル打線を“石井マジック”が呼び覚ました。
試合開始3時間前、プロで勝利投手になったこともある石井打撃コーチがマウンドに立っていた。この日の先発はアンダースローの山中。前回苦戦した右腕のリベンジに燃え、松山、会沢、野間、西川相手にフリー打撃の投手役を自ら買って出たのだ。山中そっくりの下手投げで気持ちを込めて投げ続けた。
特訓の成果は1打席目に出た。1点を追う二回、4番に座る松山が右翼席へ10号ソロ。1死一塁から7番会沢が左翼ポール際へ4号2ランを放り込んだ。
2人は石井コーチへ感謝、感謝だ。松山は「練習通りいいポイントで打つことができました。今日のホームランは琢朗さんのおかげです」。会沢も「練習通り、前のポイントでしっかり振り抜くことができました」と成果を強調した。会沢は六回にも5号ソロを放ち自己最多シーズン94試合出場を自ら祝った。
試合後、2人のコメントを伝え聞いた石井コーチは「それはうれしいね」とニッコリ。「僕どうこうより結果を出してくれたことがうれしい」。体を気遣われると、「大丈夫、大丈夫」と繰り返し、心配を吹き飛ばした。
ヤクルトに3連勝し、今回の東京遠征6連戦は4勝2敗と上々だ。東京ドームで巨人に2連敗し、虎の足音も聞こえ始めていたが、神宮で嫌なムードを払拭。再び赤ヘル打線に復調の兆しが見えた。
2位阪神とは6・5ゲーム差。5日からはマツダスタジアムで直接対決だ。今季の対戦成績は10勝9敗1分けとほぼ互角。シーズン終盤、いよいよ勝負の3連戦となる。
それでも緒方監督は「相手どうこうは関係なく、今まで通り我々の野球を一戦一戦やっていくだけ」といつも通りの言葉。歓喜のゴールテープへもう足踏みはしない。一気に虎を突き放す。