“育ての親”佐藤義則氏が語る田中将大とは 「真っすぐが基本」を肝に銘じ、勝ち星を積み重ねてほしい

 「巨人4-2中日」(30日、東京ドーム)

 巨人・田中将大投手(36)が30日、中日戦(東京ド)で勝利投手となり、日米通算200勝を達成。楽天投手コーチとして田中将を2009年から5年間指導した“育ての親”佐藤義則氏(71)=デイリースポーツ評論家=が祝福のメッセージとともに田中将との思い出を語った。

  ◇  ◇

 日米通算200勝達成、おめでとう。昨オフに楽天を退団した時は、どこか取ってくれる球団はあるのか、とても心配したが、巨人に入団できて本当に良かった。技術と経験はだれにも負けないものを持っているのだから、1軍でチャンスさえもらえれば必ず勝てると思っていた。

 私が楽天のコーチになったのは田中が3年目の時だった。すでに完成された投手で、特に制球力が良く、ブルペンでもほとんど逆球がなかったのが印象に残っている。ただ、1点だけ気になったのが左膝の割れ。踏み出した際に外側に倒れていた。そこを修正することで球持ちが長くなり、低めにより強い球を投げられるようになった。

 2013年には24勝0敗という圧倒的な数字を残した。その年の6月ごろだったと思うが、本人から「真っすぐのスピードが出ない」という悩みを打ち明けられた。そこで登板間で1度だったブルペン投球を2度に増やし、その1回を真っすぐのみ全力で投げ込むことを提案した。約1カ月間、この調整法を取り入れた結果、球速アップに成功し、以降も順調に勝ち星を伸ばしていった。

 この年、優勝を決めた9月の西武戦の投球はすごかった。九回から登板し、1死二、三塁のピンチを招いたが、そこから全球真っすぐで栗山、浅村を連続空振り三振に抑えた。この投球が私の中では田中のベストピッチであり、あの時の感動は今も忘れられない。

 私のもう一人の教え子でもあるダルビッシュもまだ頑張っている。田中もここは通過点。200勝という重しも取れると思うので、これからはもう少し伸び伸びと投げられるだろう。改めて「真っすぐが基本」の原点を肝に銘じ、腕をしっかり振った投球で勝ち星を積み重ねていってほしい。

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