「満足。後は楽しんで帰ろう」十回に負けを覚悟した県岐阜商 小鎗稜也捕手が起死回生の同点二塁打 王者の横浜を撃破

 「全国高校野球選手権・準々決勝、県岐阜商8-7横浜」(19日、甲子園球場)

 春夏連覇を狙う横浜を、県岐阜商が延長11回タイブレークの末、撃破し同校16年ぶりのベスト4進出を果たした。

 初回1死一塁から内山元太内野手(2年)の二塁打で先制すると、四回には2死無走者から小鎗稜也捕手(3年)、横山温大外野手(3年)、渡辺璃海外野手(2年)の3連打で追加点と、横浜のお株を奪うような集中打で2点目を奪い、ここまで横浜の進撃を支えてきた織田翔希投手(2年)をマウンドから引きずり下ろした。

 さらに五回にも1死から3連打などで2点を追加した。

 しかし六回、この回からマウンドに上がったエース・柴田蒼亮投手(2年)が2死球などやや安定を欠き、満塁から内野ゴロと送球エラー、さらに適時打を許して1点差とされると、八回にも守りのほころびが出て同点に。

 しかし九回は1死二、三塁と絶好のサヨナラ機を迎えたが、ここでスクイズを横浜の攻守により本塁タッチアウト。その後の2死満塁も、ホームを踏むことはできず。

 試合は延長タイブレークとなり、無死一、二塁からの投前バントを柴田が三塁に悪送球。さらに阿部のタイムリーも許し3点のリードを許した。

 しかしこれで終わらない。その裏、宮川鉄平外野手(3年)のヒットで無死満塁とすると、打席には小鎗が立つ。

 大きな差となったが、ベンチは明るかった。「横浜とこれだけの試合ができたんだから、満足。あとは楽しんで帰ろう」と、負け覚悟で開き直った打席で放った打球が、起死回生、左中間を破る同点二塁打だ。

 伝統では、横浜の上をいく。47年前、3回戦で戦った時には3-0で下してもいる。それでも「今年の横浜さんはみんなプロに行くような選手ばかりですから」と、あくまで格上との戦いという謙虚さを貫いたことで、気持ちよくバットを振ることができた。

 この勢いを駆って十一回、坂口路歩内野手(3年)がサヨナラ打、試合を決めた。

 この試合まで12打数1安打。「よう、0割バッター」という藤井潤作監督(53)のイジりが「嬉しい。あれでみんなが明るくなる」とどこまでも前向きな小鎗。「横浜さんの涙を見て『かけてきたものが違う』と感じました。ここまで来たら」と、69年ぶり決勝進出、89年ぶり優勝へ、腹は決まった。

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