ヤクルト・青柳 古巣・阪神へ「活躍することが恩返し」小川GMが先発として獲得明言 背番号は「99」
ヤクルトは31日、米大リーグ、フィリーズ傘下2Aレディングから自由契約になった元阪神・青柳晃洋投手(31)の獲得を正式に発表した。背番号は「99」に決まり、年俸は5000万円(推定)。東京都内の球団事務所で記者会見を行った青柳はメジャー挑戦の夢が砕け散った中、手を差し伸べてくれたヤクルトへの感謝の思いを明かし、古巣・虎への恩返しも誓った。
グレーのスーツに身を包んだ青柳は神妙な面持ちながら、安堵(あんど)感もにじませた。「メジャーに挑戦して、ダメになってしまいましたけど、また野球をできる環境を与えていただいた」と正直に感謝の思いを打ち明けた。
昨季終了後に阪神からポスティングシステムを使い、フィリーズとマイナー契約。メジャー昇格はかなわず、7月に2A球団を退団した。夢は砕け散ったが「全く後悔がないです。素晴らしい経験をさせてもらいました。マイナーでも行かしてもらった」と阪神にも感謝した。
NPB復帰は阪神・藤川監督にも報告し、「(自分自身も)アメリカを経験して、その気持ちはすごく分かる。またグラウンドで会えるの楽しみにしてる」と激励されたという。「阪神に戻ることも僕の中ではずっと思っていました」と明かしたが、支配下選手が上限の70人に達していた阪神からのオフアーは「なかったです」と説明した。
そんな中、獲得に乗り出したのがヤクルトだった。先発ローテを固定できず最下位にあえぎ、投手陣の補強が急務だった。補強期限ギリギリのこの日、正式に獲得を発表した小川GMは「先発として考えて獲得した」と明言。青柳は「本当に僕のことを必要としてくれた」と決断の理由を語った。現役時代の高津監督や青木GM特別補佐が憧れの存在であったことも背中を押したのだろう。
9年間在籍した古巣との対戦も実現するが、「全員対戦したいです」と具体名は避けた。「僕も知っている選手が多いですし、いい選手がいっぱいいる。今首位にいるチームでもあるので、真正面から対戦できる楽しみがある」。阪神ファンの大声援が耳をつんざく甲子園のマウンドに上がる可能性もあるが、「温かく迎えてくれるとは思わないですけど」と思わず苦笑いを浮かべた。
「しっかり活躍することが阪神への恩返しになる。手を差し伸べてくれたスワローズへの恩返しにもなる」。その言葉には決意と覚悟がぎっしり詰まっていた。登板した試合で期待に応え、結果を残す-。1日・阪神戦(神宮)の試合前練習に参加する予定。虎の元エースが新たな物語の一歩を踏み出す。
◆短期間でのNPB復帰 昨年12月に阪神からポスティング申請を行い、1月にフィリーズとマイナー契約を結んだ青柳は、約半年でのNPB復帰となった。ポスティングでメジャー挑戦した後、申請球団以外と契約して短期間でNPB復帰を果たしたケースとしては、上沢の例がある。上沢は23年11月に日本ハムから申請し、24年1月にレイズとマイナー契約を結んだ。開幕前にレッドソックスに移籍して2試合に登板し、11月にFAとなった後、12月にソフトバンクと契約。約1年でのNPB復帰となった。





