早大・伊藤樹 人生初ノーノー達成「やってしまった」史上25人目快挙 明大に初の屈辱与えた
「東京六大学野球、早大1-0明大」(19日、神宮球場)
2回戦2試合が行われ、今秋ドラフト候補の早大・伊藤樹投手(4年・仙台育英)が無安打無得点試合を達成した。2016年秋に慶大の加藤拓也投手が東大戦で記録して以来、史上25人目(通算26度目)。明大がノーヒットノーランを許すのは史上初だった。早大は1-0でサヨナラ勝ちして1勝1敗とし、慶大は法大を破って1勝1分けとした。
劇的なサヨナラ勝ちで、快挙は成し遂げられた。結成100周年の東京六大学で歴史に名を刻んだ伊藤樹は「人生で初めて。やってしまったという感じ」。プロからも注目を浴びる右腕は驚きを隠さなかった。
渾身(こんしん)の106球だった。負ければ3連覇の可能性が消える崖っぷちの一戦でチームを救った。「真っすぐを強く投げられることを嫌がっている」。140キロ台後半の速球と落ちる球を軸にアウトを重ねた。5四死球と制球がやや乱れた中で、11奪三振。早大では13年春に東大戦で完全試合を達成した高梨雄平以来で、東京六大学では元号が令和になってからは初の快挙だった。
仙台育英高出身で、1年春から神宮のマウンドを踏んだ。早大では昨年の春秋連覇にも大きく貢献したが、今季は立大3回戦で8点を失うなど不本意な投球が続いた。それだけに「ここまでコンディション不良で思うように投げられなかったが、(解き)放たれた感じ」と口元を緩めた。
チーム事情で、本来の1回戦ではなく2回戦に回ったエース。存在を見せつけ、「この投球ができるというのは自信にしたい」と誇った。
◆伊藤 樹(いとう・たつき)2003年8月24日生まれ、21歳。秋田県美郷町出身。右投げ右打ち。177センチ、84キロ。6歳から仙南東スポーツ少年団で野球を始め、小学6年時には楽天ジュニアでプレー。秀光中教校では軟式野球部で3年時に全国準優勝。仙台育英では1年春からベンチ入りし、20年の交流試合を含め3年連続で甲子園出場。早大では1年春にデビュー。3年時には春秋ともにベストナインを受賞し、大学日本代表に選出された。50メートル走6秒6、遠投110メートル。



