巨人・ウォーカーの〝泣けた〟捕殺 亀井コーチとの絆「喜ばせることができてうれしい」

 143試合のペナントレースにおいて、デイリースポーツ記者の心に残った試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。巨人担当・畠山記者はアダム・ウォーカー外野手(31)が来日初補殺を記録した一戦を挙げた。送球に課題を抱えながらの努力の日々、亀井義行コーチ(40)との二人三脚の軌跡をたどる。

  ◇  ◇

 かつてこれほど“泣ける”バックホームを見たことはなかった。6月28日・中日戦(山形)。カクテル光線に照らされた左翼・ウォーカーはひときわ輝いていた。1-1の四回2死一、二塁で左前打を捕球すると、本塁へノーバウンド送球でタッチアウト。「頑張ってきたことが、やっと成果として表れた。亀井さんを喜ばせることができてうれしい」。真っ先に口を突いて出たのは恩人への思い。努力が実った瞬間に関係する全ての人が胸を熱くした。

 最初は誰もが驚いた。来日当初、キャッチボールで投じる球は山なりで、塁間を越えると相手に届かない状況だった。米国時代に守備の指導を受けた経験は皆無。ここから亀井外野守備兼走塁コーチとの練習の日々が始まった。

 「とにかく一生懸命でしたね。投げる方は自信がなかったかもしれないけど、練習の最後まで残って守備をする姿からうまくなりたい気持ちは伝わってきました」と亀井コーチ。試合前練習では左翼の定位置でスローイングの基礎練習を行うことがお決まりとなり、課題克服に力を注いだ。

 開幕前、2人は「まずは補殺1個しよう」と約束していた。それが山形の夜、チームのピンチを救う、最高の形で果たされた。試合後、亀井コーチは「ちょっと涙が出そうになっちゃったよ」と冗談めかしていたが、実際にはベンチ裏で号泣。「最初の姿を見たら想像もできなかったですから。年取ったなと思いましたけど」と頭をかいた。

 打撃では23本塁打52打点、打率・271の好成績を収めたウォーカー。頼もしさと不完全さを併せ持つ助っ人の姿はファンの心をわしづかみにした。来季も残留の方向で調整しており、“ウォーカー第2章”の幕開けが待ちきれない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス