プロ注目左腕の復肩で決勝進出 神戸国際大付・楠本 今夏初登板で11回1失点14K

 「高校野球兵庫大会・準決勝、神戸国際大付2-1加古川西」(27日、ほっともっとフィールド神戸)

 兵庫大会は準決勝が行われ、昨年の覇者、神戸国際大付が、快進撃を続けてきた公立校の加古川西を延長十二回の熱戦で下して、3大会連続の決勝に進出した。背番号10の左腕、楠本晴紀投手(3年)が今大会初先発し、11回を6安打、14奪三振、1失点に抑えた。

 自らを鼓舞するように、背番号10は何度もマウンドで拳を突き上げた。延長11回、131球で奪った三振は14個。「マウンドに立ったら自分がエース」。言葉通りの力投が楠本の意地だった。

 「投げたい、投げたいという思い。チームのためになりたかった」。大会直前に左足首を疲労骨折し、全治1カ月と診断を受けた。自転車や座位でのスローイングなど、できる準備を整えてきた。まだテーピングの残る足で、ベンチを温めた悔しさを力に代えた。

 力のある直球にスライダーを効果的に織り交ぜ、三振を量産した。四回に同点にされても動じることなく、五回以降の3安打はすべて内野安打。必死に食らいつく加古川西を187センチ、93キロの力で封じ込めた。「気づいたら十一回だった」。それほど集中していた。延長十二回、打線は決勝スクイズを決めた。

 天国と地獄を味わった1年だ。昨年は春夏の甲子園に出場し、夏は背番号1をつけた。最速144キロの速球でプロから注目を浴びたが、昨秋は県大会の準々決勝・明石商戦で制球難を露呈して敗戦。3季連続甲子園を逃した。今春も不振でチームは地区敗退。夏はノーシードからのスタートとなった。

 「フォームを意識しすぎて気持ちが不安定になった」と言う楠本に、青木尚龍監督(57)はあえて厳しく接した。5月、高卒でのプロ入りを希望する楠本に「お前には無理。そんなに甘くない」と進学を促した。「各球団が見に来てくださったが、投げ方を見失っていた」と同監督。約1カ月ぶりの登板となったこの日も「このままやったらアカンやろ」とハッパをかけた。

 「青木先生は僕のことを考えてくれて言ってくれている」と恩師の言葉に奮起した楠本。進路は進学に変え「4年後はドラフト1位になりたい」と将来を見据える。その前に、もちろんやることがある。「甲子園に連れて行って、先生を男にしたい」。本格左腕はここからフルスロットルだ。

 ◆楠本晴紀(くすもと・はるき)2004年6月7日生まれ、神戸市出身。187センチ、93キロ。左投げ左打ち、投手。小学5年から灘西レイダースで野球を始め、鷹匠中では神戸中央シニアと、兵庫タイガースで投手、内野手。神戸国際大付では1年秋に背番号18でベンチ入りし、2年春は背番号11、夏は背番号1で甲子園に出場。最速144キロ。変化球はスライダーとフォーク。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス