過去に誤審を謝罪→判定覆すも- 両チームに受け入れられた審判員の姿

 24日のオリックス戦、2回に白井球審はマウンドの佐々木朗に詰め寄り引き返す(撮影・山口登)
阪神・和田監督に説明をする東利夫審判(中央)=2017年7月14日
阪神・和田監督に説明をする東利夫審判(左)=2017年7月14日
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 ロッテ・佐々木朗希投手と白井一行審判員による一連の騒動が話題となっているが、過去にプロ野球でこんな場面があった。2014年、7月14日にナゴヤドームで行われた中日-阪神戦。5-3と中日リードの八回1死一、三塁から中日・和田が放った痛烈なライナーを、右翼・福留がギリギリで捕球したかに見えた。

 ここで東利夫一塁塁審はアウトをコール。この判定に中日ベンチから谷繁監督が出て猛抗議した。すぐさま審判団が集まって協議した結果、アウトの判定が覆り、フェアとして中日に1点が入り、なおも1死一、二塁としてゲームを再開。まだリクエスト制度がなかった時代。本塁打のビデオ判定ならともかく、プレーが動いている中で判定が変わるのは異例中の異例だった。

 試合後、東塁審はこう報道陣に説明した。「アウトと判定した僕に疑念が生じた。だから他の審判に聞いたんですけど、3人は全員、フェアの判定。僕が一番、悪い角度で見てしまったかもしれない」。過去に何度も微妙な判定について審判員の方に取材してきたが、「審判は絶対」と言われていた時代。ここまで自らの非を認めた方はいなかった。

 さらに「審判が協議して判定を変えることはルールとして認められていますので」と付け加えた東塁審。直後に和田監督が「アウトのジャッジでプレーが変わったのでは?」と抗議に出たが、「アウトをコールしたのはセカンドへ送球した後です」と毅然とした態度で説明されたという。

 その場は収まり、後日、騒ぎになることもなかった。判定などに不服があれば球団は後日、意見書などをNPBへ提出するが、当時の現場関係者から異論を唱える声は一切、上がらなかった。

 人間だけに誰しもミスはある中、東審判員の誠実さ、純粋に正確なジャッジを心がけていた姿勢に記者は感銘を受けた。それはきっと現場の選手、首脳陣も同じだったように思う。現場と審判員の信頼関係-。これが築けていたからこそ、異例の判定変更も受け入れられたのではないかと思う。(デイリースポーツ・重松健三)

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