日本ハム・斎藤佑樹 涙の2軍ラス投 「大人にしてくれた場所」で全身全霊の5球

 「イースタン、日本ハム1-6DeNA」(3日、鎌ケ谷スタジアム)

 今季限りでの現役引退を発表している日本ハム・斎藤佑樹投手(33)が3日、イースタン・DeNA戦(鎌ケ谷)に登板した。自身にとって2軍での最後の登板は、打者1人に対し空振り三振の内容。2軍本拠地に詰めかけた大勢のファンから、万雷の拍手を受けると涙があふれた。今後、17日のオリックス戦(札幌ド)で現役最後の登板を迎える。

 懐かしいメロディーが球場を包みこんだ。スキマスイッチの「スフィアの羽根」-。早実時代の06年、夏の甲子園で全国制覇し、日本中に“佑ちゃんフィーバー”を巻き起こした当時のテレビ朝日系「熱闘甲子園」のテーマソングだ。

 「もう十五、六年前なので、あの頃を知っている選手もなかなかいないし、不安な気持ちはあった。でも、久しぶりに聞けてよかった」。杉谷がこの日のために選曲してくれた青春の曲だった。「待ってないでラインに立って顔をあげて這(は)い上がれ」-。その歌詞に背中を押され鎌ケ谷での最後のマウンドに立った。

 球場の上限いっぱいの1379人がスタンドから大きな拍手を注いだ。オレンジ色のネーム入りタオルを掲げる年配のファンの姿も多い。そんな人たちへ、感謝を込めた全身全霊の5球だった。「今の自分が出せる最大限のフォーシームだったので。悔いなく投げられた」。対戦した打者は乙坂1人。全て直球を投じた。

 投球前には早実の後輩・清宮が駆け寄り、言葉をもらった。「幸太郎に泣かされましたね」と語るが、同時にプロ11年間の色んな思いがあふれた。4球目を投げると、涙を必死にこらえるように少し間を置いた。客席からの「頑張れ」の声に励まされ、最後は132キロの直球で空振り三振に斬った。

 鎌ケ谷では苦労の記憶の方が強い。「ずっと北海道で投げたかった。やっぱり苦しんだ記憶が多い」。度重なるケガでのリハビリが主。本拠地・札幌ドームでの活躍を期してきた場所だった。それでも「時には厳しく愛のある声援があった。僕を大人にしてくれた場所」。今まで見守ってくれた多くのファンに恩返しの投球だ。

 プロ生活11年間の集大成を間近に控える。17日・オリックス戦(札幌ド)が現役最後のマウンドで、中継ぎでの登板を予定。「本当に感謝して最後投げさせてもらえたら。バッターを抑えられるように準備をしたい。真剣に投げたい」。優勝争いを演じる相手の胸を借り、全力で腕を振る。

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