侍・坂本 サヨナラ決めた!白星発進 頼もしチーム最年長「みんなでもぎ取った勝利」

 「東京五輪・野球・1次リーグ、日本4-3ドミニカ共和国」(28日、福島県営あづま球場)

 1次リーグが始まり、正式競技としては初の金メダルを狙うA組の日本はドミニカ共和国に4-3で逆転サヨナラ勝ちし、白星スタートを切った。九回、2点差を追い付きなおも1死満塁から巨人・坂本勇人内野手(32)が中越えのサヨナラ打。頼れる大黒柱が苦しいゲームに終止符を打った。A組1位通過を目指す次戦は、31日にメキシコと対戦する。

 坂本が右手を突き上げた。打球が中堅後方で弾むと、グラウンドに歓喜の輪が広がった。「初戦に勝って正直ホッとしているという気持ちが一番です」。東日本大震災の被災地・福島で見せつけた執念。金メダル獲得への道は劇的なサヨナラ勝ちから始まった。

 2点を追う九回。1死から柳田が一塁内野安打で出塁し、甲斐のセーフティースクイズで同点に追い付いた。なおも続く1死満塁の絶好機で、打席には背番号6。「ベンチでみんな声を出してくれていましたし、最高な形でつないでくれたので」。仲間たちの思いも胸に、マリネスの初球を一振りで仕留めた。

 東京五輪に出場する侍ジャパンの内定選手が発表された6月16日。坂本は「いろんな感情があると思いますけど、うれしく思います」と田中将への思いを語った。小学校時代、兵庫県伊丹市の少年野球チーム・昆陽里タイガースでバッテリーを組んだ2人。13年のWBC以来となる再タッグで、稲葉監督からはそれぞれ投手陣と野手陣のけん引役を託された。

 大会前に楽天生命パーク宮城で行われた直前合宿では、不振の鈴木誠に身ぶり手ぶりで打撃のアドバイス。「どういうイメージで打っているのか選手同士で意見交換してます」。吉田正、近藤、山田も打撃談議の中に加わる。「一人一人がチームをいい方向にと思ってやるのが一番いいことなので」。主将という肩書はなくても、ナインの中心にはチーム最年長の坂本がいた。

 初陣の前に闘志をかき立てるような出来事があった。「僕たちも勇気づけられる」と声援を送っていた女子ソフトボール日本代表が、金メダルを獲得。「お会いしたことがある」という上野由岐子は13年ぶりの悲願を達成し、涙を流していた。

 「ずっと日本代表で、しかもエースでやっていることがすごいことだと思います。常に向上心を持った方なんだなって。感じさせてもらっています」

 日の丸の重みを改めて痛感し、プレッシャーの中で臨んだ初戦。八回には送りバントを決めるなど、勝利への渇望をグラウンドで体現した。「本当にみんなでもぎ取った勝利だったなと思っています」。過去の五輪で初戦に勝利した大会は必ずメダルを手にしているが、目指すは「金」のみ。国の威信を懸けた戦いが幕を開け、坂本が号砲を鳴らした。

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