侍ジャパン・稲葉監督 土壇場采配ズバリ!九回2点差からサヨナラ勝ち

 「東京五輪・野球・1次リーグ、日本4-3ドミニカ共和国」(28日、福島県営あづま球場)

 五輪初戦のドミニカ共和国戦で苦しみながらもサヨナラ勝利を収めた野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(48)は、執念の用兵で最終回の2点差を逆転。それでも無失点の山本を6回88球で降板させた継投面など、ベンチ入り人数が通常の国際大会より少ない五輪の難しさを痛感しつつも、最後は安どの表情を浮かべた。

 これが国際大会、そしてこれが五輪-。敗色濃厚の展開からわずかに見えた光。稲葉監督の決断力と、侍たちの底力が劇的勝利への筋書きを作り出した。

 「人数が24人という中でやるのが初めてだったので、終盤での選手起用の難しさはすごく感じた」。試合後の会見。指揮官が硬い表情を崩さずに振り返ったのは2点を追う九回だ。1死から柳田が一塁内野安打で出塁すると、菊池涼に代えて、代打・近藤を送った。

 WBCなどの選手数28人と違い五輪は24人。控え野手が4人しか置けないだけに、起用は難しさを増す。それでも「スライダーが独特だったので、左打者ならば引っ張って一、三塁にしてくれる確率がある」と代打決断の理由を語った。

 その近藤が右前打で一、二塁とチャンスを拡大し、続く村上の右前適時打で1点差。なおも1死一、三塁の場面で、三走・近藤の代走で俊足の源田を使った。甲斐が一塁前へセーフティースクイズ(記録は犠打野選)を決めて同点に追い付き、最後は1死満塁から坂本が勝負を決める一打で締めくくった。

 苦しんだ末の勝利だ。先発・山本が6回無失点も、暑さでの疲労を考慮して「今日は100球か6イニングまでと決めていた」(建山投手コーチ)と七回から青柳を投入。だが青柳が2点の先制を許すと、重苦しい空気が漂い、流れは一気に劣勢へと様相を変えた。

 痛恨の継投ミスだけでなく、七回に1点を返し、なおも2死三塁の同点機では少ない選手数から甲斐に代打を送ることができず、チャンスを逸した。

 一方でわずかな隙から積極的な用兵で流れを取り戻すのも五輪の戦い。「最後まで諦めない気持ちがサヨナラという形になった。福島の方たちも何かを感じてくれたのでは」と指揮官。東日本大震災の被災地・福島に苦難から立ち上がる姿を見せた侍たち。その笑顔が、1勝の大きさを物語っていた。

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