守備を重視する巨人・岡本和はチームのお手本「若手は見習うべき」高代延博氏
「巨人1-1DeNA」(28日、東京ドーム)
今季、ゴールデングラブ賞の受賞を目標にしている巨人・岡本和真選手(24)の考えに、デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏が理解を示した。守備を鍛えれば打力が伸びるという過去の例から、「その考えを若い選手も見習うべき」と語った。
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DeNAとの開幕3連戦を終えて巨人は2勝1分け。幸先のいいスタートを切ることができた。
サヨナラ勝ちにワンサイドゲーム、そして終盤に追いついての引き分け。まだ3試合消化したばかりなので、未完成な点は残されているが、3連覇を狙うには十分な滑り出しといえよう。
しかし、細かい話になるが、ひとつだけ非常に残念なシーンがあった。それは2戦目の九回の守り。
(大量リードのこの回、ビエイラがマウンドに上ったが、2安打と四球などで1点を返され10-3。走者は二、三塁に残り、続く戸柱の打球が一、二塁間を抜けてさらに2点を許した)
二塁を守っていたのは北村だった。一瞬、追いつくかなと思ったが、あっさりと抜けていった。
この場面で私には、身を挺してでも打球を止めようという執念を、北村には感じなかった。彼の中に大量点差という安心感があったのかもしれない。
一転して第3戦は貧打に泣いた。平良の出来がよく、1点を取るのが難しいことを痛感させらる試合だった。
それだけに、どんな試合であっても、1点を与えることを必死で防ぐ努力もまた必要なのだ。
せめて二塁走者だけは生還を許さない。個人成績になるが、それで投手の自責点も1つ救われる。そこにチームへの、同僚選手への“気持ち”が表れる。
北村は打力が魅力の好選手だ。首脳陣の期待も高い。だが、打力は守備力が土台になっていることも知っておくべきだ。
解説で山本浩二さんが「坂本は守備がよくなり打撃も向上した」と話していた。そのとおりで、やっぱり下半身が鍛えられる守備練習は大事。
この解説を聞き、私も広島でのコーチ時代を思い出した。第一次政権下の山本監督は、守備をとことん鍛える人だった。
その代表的な選手が、捕手から内野手へ転向した江藤だった。来る日も来る日もノック。打撃練習に入ったころにはユニホームのカープの文字が真っ黒で見えなかった。
その後、江藤は4番打者に成長し、本塁打王にまでなった。ならばオレにだって…。そこに意識を持っていけばどうだろう。
巨人にはいい“お手本”がいる。坂本もそうだが、若い選手で言うなら岡本和真だ。三冠王になってもおかしくない彼は、個人部門では打撃成績よりも、ゴールデングラブ賞を狙っていると聞く。その心構えこそが大切。
岡本はグラブさばきが柔らかく、スローイングが安定している。もっともっと鍛えてGG賞を獲得するほど守備力が上達すれば、さらに打撃にも磨きがかかると思っているのだろう。本人の意識レベルはかなり高い。
智弁学園の後輩だから少しばかり力が入ってしまうが、巨人には伝統的に見本になる選手が常にいる。だから強いのだろう。