U-17東京都選抜、6点差から執念の大逆転勝利 キューバ遠征最終戦で初勝利

 キューバ遠征中の高校野球U-17東京都選抜が21日(日本時間22日)、現地でキューバ代表と第5戦を行い、7-6で逆転勝ちした。3敗1分と勝利がないまま最終戦を迎えていたが、土壇場で東海大菅生・小山翔暉(2年)の逆転2ランが飛び出して初勝利。首脳陣、選手、スタッフ、応援団全員が笑顔で遠征を締めくくった。

  ◇  ◇

 最終戦も初回からキューバの“洗礼”を浴びせられた。耳を突くラッパ音。甲子園で聴かれる心地よいそれとはわけが違う。投手が投げるタイミングで始まる雑音、騒音。観客ですら気が散るほどの音だった。そして、いきなりの5失点。キューバ流の応援に戸惑いを隠せなかった。掲示板の上ではためく日本の国旗は今にも落ちそうな状況に。初回は不穏な空気だけが漂っていた。

 しかし、初勝利にかける選手たちの気迫は、想像を超えていた。0-6で迎えた三回に主将の早実・生沼弥真人(2年)の右前2点打などで3点を返し、6回にも2点を加えて1点差に迫った。これまで悩まされてきた内野守備の乱れもなく、外野も好守を連発。投手陣も踏ん張りを見せて、運命の最終回を迎えた。

 2番打者の帝京・小松涼馬(1年)が左前打で出塁すると、続く小山が右越え逆転2ラン。選手たちには、これまでの4試合で見せることがなかった、はじける笑顔が広がった。慣れない環境や食事、木製バット。一つ一つ必死に食らいつき、日に日に成長していく姿がとてもたくましかった。前田三夫監督(帝京)は「最初はチームとして不安定なところがありましたが、チームとして立派に成長した。素晴らしい遠征でした」と総括。生沼主将は「このキューバ遠征を通していろんな悔しい気持ちを乗り越えて、最後は最高の形で終えられた」と晴れやかな表情を見せた。

 1勝3敗1分。悔しいスタートだったが、遠征で学んだことはこれからの野球人生にも必ず生かされるはず。集まった20人の選手たちは遠征が終われば再び元のチームに戻る。キューバの野球環境やアグレッシブ野球、現地で体感したこと。全てを今回参加できなかったメンバーに伝えることで、東京都の高校野球のレベルアップが期待される。昨日の友は今日の敵-。来年、熱い戦いが繰り広げられるその日が待ち遠しい。(デイリースポーツ特約記者・鈴木エレナ)

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