根尾、人生初サイクル安打 日米20球団超スカウトの前で木製バット弾

 「U18アジア選手権、日本26-0香港」(3日、KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎)

 第12回U18アジア選手権が開幕した。日本は1次リーグ初戦・香港戦で、今秋ドラフト1位候補・根尾昂内野手(3年)=大阪桐蔭=が自身初のサイクル安打を記録し、26-0の五回コールドで大勝した。根尾は二回だけで先制適時三塁打、ソロ本塁打、適時打。三回は適時二塁打を放って快挙を達成。日米20球団以上のスカウトが視察する前で、衝撃的な高校での日の丸デビューを飾った。

 世界にNEOの名をとどろかせた。日米のスカウトが見つめた侍ジャパン高校代表の初陣。根尾が球界の将来を担う逸材がそろう中、鮮烈な活躍で視線を独占した。

 高校では初めて日の丸を背負って迎えた国際大会。「試合がしたくてうずうずしていた」。第1打席から全開だった。

 二回無死一塁。初球を捉えて、三塁手の左へ鋭いゴロを放った。左翼手が左中間寄りを守っていたため、一気に三塁へ。永田裕治監督(54)は「根尾から活気づいた感じがあった」。チーム初安打となる先制適時三塁打で、打線に火を付けた。

 打者一巡して迎えた二回2死は、右翼席へ完璧なソロ。木製バットでの公式戦初本塁打に「自分のスイングができた」。高校通算31号は、日本代表としての1号でもあった。

 打者が二巡した二回2死二塁は中前適時打。二回だけで1人で3安打3打点。1イニング19点を演出した。

 まだ止まらない。三回2死二塁は左翼の右へ打球を運び、左翼手がもたつく間に二塁へ。4打席連続安打であっさりとサイクル安打を達成。「『一打2進』でやってきた。うまくセカンドベースが取れてよかった」。四回2死三塁も左越え適時二塁打で自身初の1試合5安打。チーム最多の5打点で、5番としての役割も果たした。

 代表では、選手全員に課されている日誌を丁寧に書き、練習はスタッフが驚くほど熱心に取り組む。永田監督も全幅の信頼を寄せる。「ずっと見ているけど、対応力があって頭がいい。冷静で、相手の目を見て話せる。根尾で負けたら仕方ないと思っている。選手間でも一目置かれている」。集合からわずか10日間でチームに欠かせぬ存在となっている。

 スタンドでは、阪神が佐野アマ統括スカウト、畑山チーフスカウトの2人で視察。巨人、広島など日本の11球団だけではなく、レンジャーズなどメジャーの複数球団もスタンドに駆けつけていた。

 五回からは右翼から遊撃へ移り、コールド勝ちを決めると、仲間と力強くハイタッチ。アジアの頂点へつながるNEO劇場は、華々しく幕を開けた。

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