高知商の“アボット”山中大河主将「障害を持つ人たちの励みに」

 グラブを右脇に抱え、返球する高知商・山中
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 「第100回全国高校野球選手権」(5日開幕、甲子園球場)

 障害に負けず、夢舞台に立った。4日の開会式リハーサル。甲子園を一周した高知商・山中大河主将(3年)は「すごい雰囲気。独特の緊張感がありました」と目を輝かせた。

 「先天性四肢障害」のため、山中は生まれつき右手の指が2本しかない。野球を始めたのは小学1年の時。地域の少年野球チームの監督から米大リーグで活躍した隻腕投手、ジム・アボットについて教えられ、「その手でも野球はできるよ」と背中を押された。

 ボールを捕るのも投げるのも、頼りは左手だけだ。山中はアボットの映像を見て「グラブスイッチ」の技術を学んだ。左手で捕球したあと、ボールを右手の2本の指でつかみ、グラブを右脇に挟みながら球を左手に持ち替えて投げる。素早い動作を身につけ、名門・高知商野球部に入部できるまでに成長した。

 現チームでは主将も任された。上田修身監督(56)は「選手たちの総意でした。努力家で裏表がなく、いつも全力プレーの男」と信頼を寄せる。

 控えの一塁手で、まだ公式戦出場はないが、山中は三塁コーチとしてチームに不可欠な存在だ。大会第2日の初戦の相手は山梨学院。背番号「10」の主将は「試合には出たいけど、まずは三塁コーチで勝利に貢献したい。自分がアボットに勇気づけられたように、自分も障害を持つ人たちの励みになれたら」と言葉に力を込めた。

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