英明・山上 2人の兄の思い乗せ、聖地で兄弟初安打

 「選抜高校野球・1回戦、国学院栃木3-2英明」(23日、甲子園球場)

 無我夢中だった。二回、1死二塁で英明・山上に打順が回ってきた。初球、狙っていた直球を強振。ふらふらと打球が上がると、右翼線にポトリと落ちた。会心の当たりではなかったが、2人の兄がかなわなかった「H」のランプを聖地でともした。

 3兄弟そろって甲子園の地を踏んでいる。長男の雄大さん(21)は坂出商(香川)の主将として14年夏に、次男の和伸さん(20)は英明で15年春に出場したが、ともに快音を響かせず初戦で姿を消した。「ヒットを打って活躍してもらいたい」と和伸さんはかわいい弟に期待を懸けた。

 自宅には牛舎として使っていたスペースにネットを張り、打撃練習ができるようになっている。和伸さんに暇があれば、山上はティー打撃に付き合ってもらいながら助言を受けた。兄との特訓後の試合では「だいたい打てています」と効果はてきめんだ。

 「自分が勝って(兄に)恩返ししたい」と臨んだ聖地初戦。喜びの後には苦い経験もした。初安打の打球の処理に右翼手がもたついたと見るや一気に三塁を狙ったが、三塁に走者がとどまっているのに気付かず、二、三塁間で挟まれてアウトに。「前が見えていなくて、自分だけで野球をしていた」。気持ちが空回りしてしまった。

 手痛いミスもした山上を、兄は優しく見届けた。「兄弟初ヒットでうれしい」と笑顔の雄大さん。真の恩返しは夏への宿題だ。夏にはクリーンヒットと山上3兄弟の記念すべき聖地1勝を挙げてみせる。

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