呉エース池田 V候補・履正社に粘投1失点「夏も甲子園のマウンドに」

 「選抜高校野球・2回戦、履正社1-0呉」(25日、甲子園球場)

 1回戦1試合、2回戦2試合が行われ、創部10年目で初出場の呉(広島)が優勝候補の履正社(大阪)を相手に大健闘した。0-1で敗れたが、左腕・池田吏輝投手(3年)が8回6安打1失点と粘り強い投球を披露した。初の聖地で2試合を完投し、計280球を投げ切ったエースは、今夏に向けての飛躍を誓った。

 悔いなどない。強豪相手にも臆することなく立ち向かった池田。九回、最後の攻撃を見届けると、すがすがしい表情で一塁ベンチを飛び出した。

 「思ったよりも打たれなかった。7、8点くらいは取られるかなと思っていたので。負けたけれど、楽しんで試合ができました」

 試合後、力を出し切った120球を笑顔で振り返った。初回、2死二塁から4番・若林に適時二塁打を許し、先制点を献上。だが、失点はこれだけ。丁寧に直球、変化球を低めに集め、無失策だった仲間の堅い守備にも支えられ、二回以降は0並べた。

 優勝候補である履正社相手の好投。中村信彦監督(62)は「10点取られると思っていたから、1点だったら上出来。高めにいけば本塁打もあるので、緩急を使ったいい投球ができていた」と左腕への賛辞を惜しまなかった。

 夢舞台で大きな収穫を得た。「冷静に投げることができたら、強豪相手でも1失点で抑えられた。自信になった」と池田。一方で今夏に向けて課題も明確になった。「フォアボールなど無駄な走者を出してしまった」。5四球を与えた制球力の甘さも痛感した。

 気持ちは既に前を向いている。「大勢の観客の前で投げていて最高でした。夏も甲子園のマウンドで投げたい」。1回戦・至学館戦の延長12回完投を含めて、2試合で投じた計280球は何物にも代え難い。この経験を糧に再び聖地へ戻ってくる。

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