阪神・佐藤輝 亡き祖父に捧げる感謝のV「テルが子どもに愛される選手に」野球の原点、祖父の願い

 「阪神2-0広島」(7日、甲子園球場)

 阪神・佐藤輝は歓喜の輪の中で笑っていた。虎の4番として、中心選手としての優勝。「もう、最高です。このためにやっているようなもんなんで、今日は最高です」。豪快な一発こそなかったが、五回1死では2番手のハーンから右中間へ二塁打。得点にこそつながらなかったが、優勝決定日にもバットで輝く。藤川監督が5度宙に舞う中、両手を上げて喜びを爆発させた。

 昨年9月、野球へと導いてくれた祖父の勲さんが亡くなった。小学校に進学する前、帰省先の宮城県で祖父とキャッチボールをしたのが原点。新人時代には仙台での楽天戦の前にスタンドから茶封筒を手に「テル、お小遣い」と渡してくれようとする、優しいおじいちゃんだった。その時は「いいっておじいちゃん、それはいいって」と照れくさそうにしていたが、「僕が渡さないと」と祖父母孝行を決心した瞬間でもあった。

 ルーキーから仙台では球宴も含めて、2発。「祖父母の前で、思い出の場所でこういう活躍ができてうれしい」と自然と力が入った。昨年のシーズン前には時間を見つけて、1人で飛行機に乗って祖父母の元へ。思いの詰まった行動だった。祖父の願いは「テルが子どもに愛される選手になること」。今年は墓前で手を合わせた。本塁打を打って三塁を回ると、天を指さす。あのしぐさは祖父への感謝だった。

 開幕戦から本塁打を放ち、ここまで36本塁打と優勝の立役者。シーズン途中からは藤川政権の4番を任されるようになった。求められたのは「姿勢」。もう若手という立ち位置ではない。中心選手としての自覚が芽生えた一年でもあった。投手への声かけはもちろん、ミスをした後輩の背中をそっと押す。6月27日のヤクルト戦(神宮)。サヨナラ失策を犯した高寺に、言葉をかけたのは佐藤輝だけだった。

 タテジマに袖を通し、もう5年目。数多くの“敵”と戦ってきた。その一つが聖地特有の浜風。「浜風、甲子園の広さというのは年々、厳しさを感じるようになっていた」。目に見えない相手と向き合うことで、強くなった。「これだけ打てているというのは、すごい自信になります」。殻を破り、これから新たな歴史を築いてくれるはずだ。

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