阪神・高田周平打撃投手 投げ続けて13年…虎戦士支える大ベテラン 選手質問には率直意見ぶつける

 裏方の仕事にスポットを当てる企画「密着仕事人」。阪神の高田周平打撃投手(40)は、2013年から同職を務める“ベテラン”だ。09年度育成ドラフト1位で阪神に入団。現役の2年間は活躍できなかったが、引退後は長くチームを支える存在になった。長年やってきたからこその苦労や思い出を明かした。

 シーズン中、高田打撃投手の一日は短くて濃い。ナイターの日は昼前に球場へ出勤。風呂で体を温め、練習に入る準備を進める。打撃練習が始まると、投手を務める他にティー打撃のトス上げや、球拾い。選手のキャッチボール相手になる。阪神の練習後は、相手チームの練習が終わるのを待ち、道具を片付けると、その日の仕事が終わる。

 打撃投手は、毎日投げ続ける仕事。「年齢とともに体も硬くなってきている。関節が硬くなると、ボールを引っかけてしまうので、しっかりほぐす。ランニングを入れたりもします」。プロ2年間で支配下選手登録はつかめなかったが、当時と同様にケアは怠らない。

 最も厳しいのは2月のキャンプだそう。朝の早出から全体練習、さらには居残りまで練習の補助にあたる。「緊張感という意味ではシーズンの方がありますけど、量的にはキャンプが一番しんどいですね」と身体的な疲労がピークに達するという。

 仕事の中身に目を向ける。調子のいい選手、悪い選手は、長年の経験から投げていてすぐに分かるという。「いい感覚でゲームに入ってもらいたいので、なるべくバットの軌道に合いやすいコースを意識しますね」。その時の選手の状態に合わせて投球するのも大きな仕事だ。練習後に選手から「どう見えているのか」という質問がくることもしばしば。「そういう時は率直に自分の感じていることを伝えます」と包み隠さず、意見をぶつけるのがポリシーだ。

 苦手分野もあった。それはティー打撃のトス上げ。「難しいですよね。この仕事するまでトスなんてほとんど上げたことないし。どこに放ったらいいかも分からなかった」と野手の感覚をつかむのに苦労した。そこから選手たちが、どういう意識でバットを振っているのかを理解しようと努めた。「やっていきながら慣れていきましたね」。今では打者の後ろから投げたり、ショートバウンドを打たせたり。多岐にわたるメニューのトス上げも、難なくこなすようになった。

 長くこの仕事をしてきた中で印象に残った選手も教えてくれた。福留孝介氏だ。「あれ?ボールやったよなって球をきれいなスイングで打たれるのですごいなと。打てるゾーンが広かった」と回顧。「ああやって打てる選手はなかなかいません」と技術が群を抜いていたようだ。

 阪神の打撃投手として13年目。裏方としても大ベテラン。「毎日ずーっと見てるから、成長してる姿とか苦労してる中で結果を出してる姿を(間近で)見られるのが楽しみ。それがやりがいですね」。これからもチームのために尽くしていく。(デイリースポーツ阪神担当・滋野航太)

 ◇高田 周平(たかだ・しゅうへい)1985年6月3日生まれ、40歳。兵庫県出身。179センチ、78キロ。左投げ左打ち。関西創価高、創価大を経て、BCリーグ・信濃に入団。09年度ドラフトで阪神から育成1位指名。2年間でウエスタン13試合に登板するも、11年シーズン終了後に戦力外となった。12年に信濃に復帰したが、シーズン終了後に現役を引退した。

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