侍打撃投手 阪神・古野正人氏 衝撃だった大谷の打球音「自分の所まで響く」

 侍ジャパンが熱戦を繰り広げる舞台裏では多くの人が汗を流し、チームを支えている。裏方の仕事にスポットを当てる企画「密着仕事人」。今回は侍合宿期間からWBC本戦前まで打撃投手として帯同した阪神・古野正人氏(36)を取り上げる。侍の打者陣から感じたことや大谷翔平選手(28)の来日初の屋外フリー打撃の打撃投手を務めた裏側を明かした。

  ◇  ◇

 世界一を目指す侍ジャパンの打者たちを、古野氏は打撃投手としての立場から支えてきた。普段、阪神でも同じ役割を担っているが、代表入りした中野や湯浅と同じタイミングでチーム本隊を離れ、侍合宿が行われた宮崎へ。4日の壮行試合・中日戦まで帯同し、サポートに徹してきた。

 普段、相対することのない打者に投げることが多かった侍合宿期間。「BP(バッティングピッチャー)として打者の打ちたいボールだったり、要求になんとか応えたいと思って投げていますが、侍では分からない部分もあったので気を使いながら投げていました」と、初めは探り探りの状態で投げていた。

 ただ、日を重ねるごとに、侍打者陣とも話す機会が増え、気づきも多かったという。

 「一つの会話の中で普段からどういうイメージで打ってるんですか?って聞いたりもしていました。意識の持ち方も一人一人違うし、練習などを見てもこだわりを持っているなと感じていましたね」

 4日・中日戦の試合前練習では“大役”が巡ってくる。来日初の屋外フリー打撃に入った大谷の打撃投手を務めた。バンテリンドームの5階席特大弾をアシストしたが「ほとんど状況を覚えていないくらい(笑)。あそこまで飛ばす選手見たことないです。自分も投げながら見ている見物者としての感覚があって」と自身も興奮状態だった。衝撃だったのはインパクトの音だ。

 「例えば、打者が室内練習場で打った時、「パカーン」って音が反響しますよね?それが広いドームで投げている自分の所まで響くイメージというか。他の選手も『インパクトの音がやばい!!』って口をそろえてました」

 一流打者の打撃、考え方に触れた期間を振り返り「本当に貴重な時間を過ごさせてもらいました。周囲の方々にも感謝でいっぱいです」と口にする。世界一まであと2勝。仕事人は、マイアミに向かった侍戦士たちへの思いを最後に語った。

 「侍ジャパンをサポートさせていただいたことは本当に貴重な経験でした。世界一奪還を達成してください」

 ◆古野 正人(ふるの・まさと)1986年9月27日生まれ、36歳。兵庫県出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。報徳学園から龍谷大、日産自動車、三菱重工神戸を経て、11年度ドラフト6位でヤクルト入団。13年4月19日・阪神戦(甲子園)でプロ初登板(中継ぎ)。18年限りで現役引退。通算成績は62試合登板で9勝12敗2ホールド、防御率5.30。19年から阪神の打撃投手。

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