【岡義朗氏の眼】「守備で勢いをもたらし、守備で勢いを止めた試合」 阪神・佐藤輝の失策教訓に

 7回、デビッドソンの打球をはじく佐藤輝(撮影・中田匡峻)
 1回、菊池の打球を好捕した小幡(撮影・中田匡峻)
 1回、菊池の打球を好捕する小幡(撮影・田中太一)
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 「広島4-5阪神」(4日、マツダスタジアム)

 阪神が広島に競り勝ち、15年ぶりの開幕4連勝を飾った。6番のルーキー森下が2安打2打点の活躍。大山も決勝打を含む2安打2打点と4番の働きを見せた。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は森下の打撃を絶賛。一方で、守備の巧拙が試合の流れを左右したと指摘した。

  ◇ ◇

 森下の非凡さを改めて感じた。二回は4、5番の四球で築かれた好機に先制犠飛。同点の四回はツーシームを捉えて左中間へ勝ち越し二塁打。続く五回も初球の直球を逆方向へ打ち返した。打席では打ち急ぐことなく、うまく間が取れているし、フルスイングしても軸がぶれない。どんな変化球に対しても対応できるので簡単に三振するイメージもない。

 伸び伸びとプレーしている。開幕カードもそうだけど、思い切りの良さを発揮できるのは、上位打線がしっかりとチャンスをお膳立てしたり、得点を取ってくれているおかげ。『自分がなんとかしないといけない』というプレッシャーを感じることなく打席に入れている。周りの先輩たちから育ててもらっているといえる。

 オープン戦でいい成績を残した。ただシーズンに入ると相手の攻め方も変わってくる。どう対処するか注目していたが、素晴らしい打撃を見せている。今後は他球団のスコアラーも血眼になって弱点を探してくるだろうけど、今のところ穴らしい穴は見当たらない。

 試合は4-4の九回、大山の決勝二塁打で競り勝ったが、そこまでの展開は、守りの巧拙が試合の流れを左右していたといえる。

 立ち上がり、やや不安定だった西勇をもり立てたのが好守だった。初回、先頭菊池の中堅に抜けようかという打球を小幡が好捕してアウトにした。二回も先頭マクブルームの二塁後方への飛球を中野が背走し、後ろ向きでキャッチした。ともに先頭打者だっただけに塁に出していれば、点が入っていたかもしれない。西勇にとってもチームにとっても大きな守りだった。

 ところが七回、佐藤輝の失策で先頭の出塁を許し、続く坂倉の一発で1点差に迫られて西勇が降板。相手に傾いた流れを止められず、八回に3番手の浜地が同点に追いつかれた。守備でチームに勢いがつき、守備でその勢いを止めてしまった。守りの重要性は岡田監督が就任当初から何度も口にしていること。勝ったとはいえ、今後の戦いに向けて教訓にしてほしい。

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