「練習試合、楽天１－１６阪神」（１５日、金武町ベースボールスタジアム）

　全身の感覚すべてをボールに合わせた。与えられたチャンスに、ひと振りで応えた阪神・井上広大外野手（２１）。こん身の力で振り抜いた白球は、グングン伸びて左翼の防球ネットに突き刺さる。推定飛距離１３０メートルの豪快３ラン。若き主砲の一撃にスタンドからどよめきが湧き起こった。

　七回１死一、二塁の好機に代打で登場。楽天・藤井が投じた初球、高めに浮いたチェンジアップを振り抜く。「岡田監督から『チャンスなら井上行こうか』と言われていたので。ストライクはあまり見逃せないなという考えで立ちました」。指揮官の起用に応える一発を披露した。

　天性のパワーを持つ４年目の長距離砲。すさまじい豪弾の裏には、新助っ人２人のサポートが大きかった。「おとといぐらいに、ミエセスが『こういうバットを使った方がいいよ。ノイジーのバット振りやすいから使ってみたら』と言ってくれた」と助言され、バットをプレゼントされた。前日１４日の練習で使用。好感触を得た新たな相棒を手に、今季対外試合１打席目で最高の結果を残した。

　右翼での開幕スタメンを目指す今季。ドラフト１位の森下（中大）や板山、高山らライバルは多い。「しっかりとやらないといけない」。サバイバルレースを制すために、ここからが勝負だ。