ノーベル賞受賞 京大特別教授・本庶佑氏 岡田監督中心に「5年計画」で阪神黄金時代を

 18年ぶりの“アレ”を目指す阪神・岡田彰布監督(65)へのエール企画「アレが見たい」。最終回は2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京大の本庶佑特別教授(80)。04年に発足した後援会「メンバーズ80・岡田会」の会長を務め、岡田監督とは約20年来の付き合いがある。「5年計画」で阪神黄金時代を形成し、「5、6連覇」する常勝軍団の確立に期待した。

  ◇  ◇

 ついに岡田監督が戻ってきてくれたという気持ちですね。彼は(05年に)優勝体験をしている。2008年も正直に言って、その時も辞めなくてもいいという中で辞めてしまって非常に残念に思っていました。

 その後、何人も監督が替わりましたけど、これまで優勝の機会に恵まれなくて。本人も意欲は十分なようだし、再びチャンスが与えられてファンとしても非常に喜んでいます。

 「メンバーズ80・岡田会」を発足したのは、04年の岡田監督の出発にあたって応援団を結成するためでした。京都で応援団を作りたいということで、中心メンバーの一人である僕の友人から『(会長に)なってくれないか』と頼まれて。その時はまだ現役(医師)でしたけどね。

 お話をしたり、ゴルフをしたりするようになったのは発足以降。僕が18年にノーベル賞をもらった翌年に、吉田(義男)監督、岡田監督たちと一緒にゴルフをしました。岡田監督は何しろ飛ぶからね。豪快なゴルフですよね。行ったところが飛ばし屋には難しいコースで、岡田監督にはちょっと気の毒やったけど、3人とも80半ばと同じくらいのスコアでしたよ。

 今回、僕が一つ思っているのは、岡田監督および会社、スタッフ一体となって「5年計画」くらいで若手を育てて、阪神黄金時代を築く。そういう構想を立ててもらいたい。

 彼は、やはりいわゆる知将だね。アイデアとか例えば“JFK”を作ったりとかね。ああいう彼なりの野球理論を持って、それを実行していく。斬新なアイデアを打ち出していく。そういうことをやはり非常に前回、成功したわけですしね。

 去年はサッカーのワールドカップが盛り上がったけど、サッカーと野球というのは本質的に違う。野球というのは個人ゲーム。要するに投手と打者の対決なんだよ。だから個人でいい選手を育てないといけない。それが何人いるか、ピッチャーも一人だけいい選手がいても1年間持たないわけだから、やっぱり層を厚くしていい選手を育てる。これに尽きるんだけどね。

 いい若手がいるじゃないですか、佐藤輝明や湯浅にしても。大黒柱に育てていかないといけない。彼なりの作戦をじっくりと立ててやってもらいたいなと思っています。そういう(若手の)芽が出かけているんだから、ぜひ大きな大樹に育てて5連覇、6連覇とやってほしいなと思います。

 僕は生まれた時から阪神ファンですね。生まれたのは京都なんだけど、父の仕事の関係で各地を転々としていたんですよ。小中高は山口の宇部だったし、外国で生活もしていた。関西に住み始めたのは1980年代の終わりくらい。(関西で生活し)もう何十年にもなるんだけど、その頃から時々、甲子園に行っていましたね。

 まあ、一番好きなのはバース、掛布、岡田のクリーンアップ。あの頃ですよね。ああいう時代がまたぜひ来てほしいなと思っていますよ。

 やっぱり85年のバックスクリーン3連発(4月17日・巨人戦)。甲子園のあれは衝撃的やね。あれは急にできるものではない。下地ができていたと思う。あの時は吉田監督だったかな。結局、吉田監督、岡田監督と存命の優勝監督は2人なんだよね。岡田監督が『もう一回、やってやろう』と言ってくれたんだから、本当にファンとしてはワクワクする。そういう気分ですね。

 岡田監督はちょっと口べたなところもあるよね。いろんな熱い思いとか深い考えを言葉で思っている通りにきちっと表現するところがちょっと苦手なところがあるよね。だからこそ良き相棒、パートナーがいると非常にいいと思いますかね。

 (平田ヘッドなどが適任者か?)そう思いますね。野球をやっている仲間では通じやすいと思いますけど、フロントとのコミュニケーションとかそういうのをケアをしてくれるサポーターがいると、よりスムーズにいく。

 やっぱり補強にしても、これからは数年計画でやっていくことが非常に重要です。僕が5年計画と言ったのもそういうこと。生え抜きを育てて強力打線と強力な先発陣が形成できたら理想なんですけどね。そういうことを目指してやってもらいたいね。

 やる以上は『アレ』を目指すというのが当たり前ですよね。明日、すぐアレができるものではないですよね(笑)。やはり勝つためには個人の能力が最大限に引き出されないといけない。もちろん、個人がお互いにそっぽを向いていたのではダメだけど、能力がなくて和気あいあいでは全く意味がないわけだから。力ですよ。やってくれると思っていますから。最初に言ったようにファンの立場として、あまり早急に優勝だとか、そういう過大な要求を出し過ぎることなく、『岡田頼むで!!しばらく頑張ってくれ』という気持ちでいきたいなと思います。

 ◆本庶 佑(ほんじょ・たすく) 1942年1月27日、京都市生まれ。山口県立宇部高、京都大医学部卒。米カーネギー研究所や米国立衛生研究所の研究員などを経て79年に37歳で大阪大教授に就任。84年に京都大教授となり、2017年から特別教授。静岡県立大や神戸市の先端医療振興財団の理事長も歴任した。18年にノーベル生理学・医学賞を受賞。恩賜賞・日本学士院賞、ロベルト・コッホ賞なども受賞。文化勲章、文化功労者。

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