【中田良弘氏の眼】阪神ドラ2伊藤将の冷静さは並の新人ではない
「西武1-0阪神」(29日、メットライフドーム)
阪神先発のドラフト2位・伊藤将は自己ワーストの5四球を許すなど調子は悪かったが、粘りの投球はできていた。二回には山川に先制ソロを浴び、その後も毎回走者を背負いながらの苦しい投球だったが、よく1失点でしのいだと思う。
投手は調子が悪い時に、どれだけの投球ができるかが大事だ。交流戦初登板でビジターと、これまでとは雰囲気も違っただろう。その辺を考慮すれば評価できる投球だった。
特筆すべきはけん制球による間合いの取り方だ。捕手・梅野のサインの場合と、自らの判断の場合があると思うが、この試合での伊藤将はけん制を使っての間合いの取り方がうまく、周りが見えているなと感じた。並の新人ではない冷静さだ。
あえて苦言を呈するならば、本塁打後の山川の打席が2四球で終わったことか。試合も膠着(こうちゃく)状態で、より一発を警戒したのだろう。だが、そこで勝負へいけるかどうかが、もう1つ上のレベルへ達するには重要だ。期待の投手だけに、そうした強さも求めていってほしい。