「阪神１０－２広島」（１５日、京セラドーム大阪）

　体は万全ではない。それでも試合になれば超人となる。勢いをもたらした阪神・糸井の全力疾走。必死に戦う姿勢がナインを鼓舞した。

　６試合ぶりのスタメン復帰。いきなり快音と激走をファンに届けた。初回１死走者なし。フルカウントから大瀬良の直球を捉えた。打球は右中間へ。その間に快足を飛ばして三塁に到達。今季初の三塁打で先制点をお膳立てした。

　勢いは止まらない。三回１死では左前打。その後、二塁に進むとボーアが放った右前打で生還し、貴重な追加点を足で稼いだ。

　さらに１点リードの五回無死二塁では、中前適時打を放った。猛打賞は６月２１日の巨人戦以来、今季２度目。膝に不安を抱えており、この回で代走を送られて交代したが、３打数３安打１打点と試合の流れを作った。

　少しでも状態を高めるために欠かさない準備。１４日の全体練習前には福留と共に早出特打を行い調整した。また、この日も外野で長めのランニングを行うなどし、出場に向けて備えていた。

　ここまで４７試合で９試合の欠場。満身創痍（そうい）の戦いが続く。矢野監督は「嘉男も出たくてウズウズしていると思う。コンディションもあるし、もちろんベテランになれば結果というのを求められるんで。またチームの力になってくれると思います」と高い信頼を寄せた。

　考えるのは個人の成績よりもチームの勝利だ。「チームが勝ってよかった。それだけです。西、ナイスピッチング」と糸井は勝利に導いた右腕を称えた。勝つために超人の姿勢は変わらない。