広島が敗れ、自力ＣＳ進出の可能性が復活した阪神・梅野隆太郎捕手（２８）が２７日、残り３試合の全勝を強く誓った。既に２リーグ分立後の球団捕手最多の１４盗塁を記録しているが、あと１本に迫る２桁本塁打の同時達成なら、球団史上初の快挙。ただ、選手会長、捕手として勝利を最優先してＣＳ進出を狙うと同時に、西の１０勝を全力で後押しし、メッセンジャー、鳥谷ら今季で退団する仲間を勝利で送り出す。

　１４３試合の激戦も最終盤。ＣＳ進出の可能性を残した３連戦を前に梅野は、厳しい表情で「集大成」と表現した。あと１本に迫る２桁本塁打到達なら、既に１４盗塁の２桁盗塁と合わせて、球団捕手史上初の快挙。個人記録に注目が集まるが、勝利の最優先するスタンスは不変だ。

　「自分たちのキャンプからやってきた集大成というか。楽しく野球をして勝つ。そういう野球を最後までできるかが、チームとしては大事。個人的にも勝つことが自分の仕事」

　思いを強くしたのは前日２６日。「昨日の横田を見てね…」。同期選手が志半ばで、ユニホームを脱いだ。２軍・ソフトバンク戦後のセレモニー。奇跡のバックホームで勝利に花を添えた光景に涙が止まらなかった。「チームが勝つと負けるでは、本人としても大きな違いがある。花道を作って送り出せるようにしたい」。勝つことで報われる思いがあると再確認できた。

　横田だけじゃない。２９日はメッセンジャー、３０日は高橋聡のラスト登板。今季限りでの退団を表明した鳥谷とは、共に戦うレギュラーシーズン最後の３日間にもなる。「勝てば勝つほど実感も湧いてくる。１日でも一緒に長く野球はしたいですけどね」。３連勝のためにも、まずは２８日のＤｅＮＡ戦。この１試合にも捕手として特別な思いがある。

　「西さんの１０勝がかかっている。打つことによってチームが勝つのであれば最高の形。高望みすることなく、勝つためにやりたい」

　個人記録は二の次だが、負けられない理由がある。バットで、リードで勝利に貢献したい。「中日は特にやられていますしね。どう戦って行くか。目の前の試合を勝つことだけ考えたい」。勝つ、勝つ、勝つ…と繰り返した勝利への執念。言霊として体現すべく、集大成を３連勝で締め、逆転ＣＳ進出を決める。