「阪神７－５ＤｅＮＡ」（５日、甲子園球場）

　阪神が今季３度目のサヨナラ勝ちだ。５－５の九回、福留孝介外野手（４２）が右越えへ決勝２ラン。セ・リーグ最年長サヨナラ弾は、セ通算５万号本塁打となった。４失策のミスを帳消しにした粘りの逆転３連勝に、矢野燿大監督（５０）も大興奮。「こどもの日」に甲子園へ詰め掛けた虎キッズたちも大喜びの劇的勝利で、首位巨人に２ゲーム差とした。

　だれもが拳を突き上げ、絶叫した。こどもの日に、夢と希望を与える白球が黄色に染まった右翼席へ消える。一塁を回ると、両手を強く叩き、ほえた福留。頼れるベテランが４時間３分の死闘に終止符を打った。

　「（感触は）バッチリですけど、この球場でこの風でね」

　無心でバットを振り抜き、打球の行方を追った。左翼方向へ強い風が吹く同点の九回２死一塁。２ボールからの３球目、三嶋の１３８キロ、真ん中低めのスライダーを逃さなかった。完璧に捉えた打球は、浜風を切り裂きながら失速することなく、右翼スタンドへ突き刺さった。

　激戦に終わりを告げる３号２ランは、球史に新たな歴史を刻んだ。セ・リーグ通算５万号本塁打。「たまたまですけど、よかったですね」。これだけではない。４２歳０カ月でのサヨナラアーチは、金本知憲（阪神）の４１歳１カ月を更新するセ・リーグ最年長記録というメモリアル弾となった。

　ここぞの場面で勝負強さを発揮する福留のサヨナラ本塁打は、これで通算５本目。正念場で高い集中力を発揮できるのは、日々の鍛錬のたまものだ。「窮地の時に一振りで決められればすごくいいこと。常にいい状態にするのが一番だと思う」。ランニングメニューの量など、その日の体の状態を見極めながら最高のパフォーマンスを発揮できるように調整を進めている。

　２日連続でのお立ち台。少年少女２人に寄り添いながら一言一言丁寧に答えた。「昨日、こうやってこどもたちがインタビュアーとしてやってくれているのを見て、何としても今日勝ってね。今日もやってもらいたいなという思いが強かったのでよかったです」と再びこどもたちのヒーローとなった。

　チームは３連勝。６日からは１２連戦の最終カードとなる２位・ヤクルトとの３連戦（神宮）に臨む。「いい流れで来ているので、明日も勝てるようにしっかりと頑張っていきたいと思います」。目の前を飛ぶツバメを叩き落とし、頂点へ向けてこのまま一気に突っ走る。