緒方、サファテ撃ち 今年1軍初打席でバックスクリーンへ!開幕センターに急浮上

 「オープン戦、ソフトバンク4-1阪神」(3日、ヤフオクドーム)

 プロ6年目の苦労人が強烈な一撃を見舞った。阪神の緒方凌介外野手(27)が九回2死、代打で登場し、昨季プロ野球記録の54セーブを記録したソフトバンクの絶対的守護神・サファテからバックスクリーンへソロ弾を放った。金本監督はサファテを開幕戦で対することが濃厚な巨人・菅野と重ね合わせ、緒方を開幕スタメンで起用する可能性を示唆。春季キャンプは2軍暮らしだった男が一気にレギュラー候補に浮上した。

 その瞬間だけ時間が止まったように、誰もが白球を見つめた。快音を残した緒方の打球は真っすぐにバックスクリーンへ伸びていった。0-4の九回2死から与えられた数少ないチャンスで、マウンドには絶対的守護神のサファテ。誰もが絶望感を抱く状況でも、生き残りをかけた男の“執念”は違った。

 「速い真っすぐを捉えることがテーマだったので」とカウント2ボールからサファテが投じた3球目、外角高めに来た146キロの直球を完ぺきに仕留めた。中堅・釜元が2、3歩で追うのをやめた文句なしの一発。昨年、シーズンと日本シリーズのMVPをW受賞し、正力松太郎賞にも輝いた右腕からのアーチに「最高の結果が出た」と声を弾ませる。

 非凡な打撃センスを持ちながら、度重なる故障に行く手を阻まれてきた。結果を求めるあまり打撃フォームすらも見失った。そんな緒方に転機が訪れたのは2月の安芸キャンプ。浜中2軍打撃コーチから見せられた1本のビデオだった。

 そこには入団2年目の2014年、西武ドームでの西武戦で、巨人にFA移籍した野上から3ランを放った映像が収められていた。「あの時はタイミングの取り方で足が内側に入っていた」。飛躍の兆しを見せた原点のフォームに戻すと、自然と結果はついてきた。2軍キャンプ中の実戦で19打数12安打と驚異的な数字をマーク。自力でチャンスをもぎ取り、前日2日に1軍に今年初合流を果たした。

 そして強烈なインパクトを残したサファテからの一発-。金本監督は「彼自身も下で腐らず上を向いて1軍に絶対に上がるという気持ちで振ってきた証拠でしょう」と目を細めた。さらに「そりゃ、今おる外野手で開幕で菅野を打てそうなやつといったら…緒方ちゃうか?(笑)いや、冗談抜きで。あるよ。ないことないよ」と一気に開幕センター争いの候補に急浮上した。

 「厳しい立場なので1打席、1打席、結果を出さないと生き残れない」と緒方は言う。プロとして崖っぷちに立たされても必死に牙を磨き、史上最高のストッパーから放った起死回生のアーチ。これが緒方の野球人生を激変させるかもしれない。

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