猛虎再奪首!山本プロ初先発で初勝利

 「DeNA6-7阪神」(4日、横浜)

 2年目左腕がでっかい仕事をやってのけた。プロ初先発となった阪神・山本翔也投手(26)が5回を6安打4奪三振2失点に抑えて、プロ初勝利。チームの連敗を4で止め、勝率5割復帰、7月1日以来の首位へ導いた。1・5ゲーム差に5球団がひしめくペナントレース。若虎の頑張りで手にした1勝をきっかけに、一気に混戦を抜け出すで!!

 救世主は泥くさく、感情むき出しだった。快速球はない。球も荒れた。それでも雨の中、1球1球に魂を込めた。山本がプロ初先発初勝利。2年目左腕がチームの失速を止めた。

 試合後、呉昇桓からウイニングボールを受け取ると、自然と目尻が下がる。ヒーローインタビューでは開口一番、力強く叫んだ。

 「最高です!!」

 背水の覚悟で臨んだマウンドだった。「今回しかないと思っていた。(4連敗は)意識せず、自分の投球をしようと思った」。緊張もあったが、立ち上がりから飛ばした。初回2死三塁は、筒香を5球連続の直球で空振り三振。拳を握り、グラブをたたいた。

 三者凡退は三回だけだった。それでもウエスタンで防御率0・85と結果を残した左腕は粘った。5回2失点。94球の熱投で首位返り咲きへ導いた。

 ヒーローインタビューでは、家族への感謝も口にした。「いつも陰ながら支えてくれてありがとうございます」。視線を送った三塁側スタンドには、父・龍朗さん(59)と、兄・桂史さん(31)の姿があった。

 いつも家族が原動力だった。その一つが桂史さんとの絆だ。幼少期。4歳年上の桂史さんは勉強に励み、山本は野球に没頭した。

 「お前は野球しかできない」と言う桂史さんに、山本も「兄ちゃんも勉強しかできない」と張り合う。対照的な2人は考え方が合わず、会話もないまま別々の道を歩んだ。

 そんな2人も社会人となり、数年が経過。山本が13年ドラフトで指名を受けた同年末、家族旅行でじっくりと話す機会があった。

 桂史さんは夢をかなえた弟につぶやいた。「俺がもっと応援してやらなければいけなかったのにな…」。本音が積年のわだかまりを解かす。2人の距離は一気に縮まった。

 昨年9月。長男が誕生した桂史さんは、弟に切り出した。「弟をかわいがれなかった分も、息子をかわいがりたい。だから、名前から1文字をもらえないか?」。翔也の「翔」を取り、晴翔(はると)と命名した。

 山本はおいの写真を携帯電話の待ち受け画面に設定。「自慢できる弟になれれば」。兄の前で初めてとなった1軍マウンドで、堂々とした姿を届けた。

 次回登板は未定だが、山本にとっても、チームにとっても、価値ある1勝となった。

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