鳥谷復活近し!三塁打&適時二塁打

 「阪神2-7広島」(10日、甲子園)

 怒号が晴天を押し上げた甲子園で阪神・鳥谷が虎打線の快音を独り占めにした。大量6点を追う八回。2死から上本が四球で出塁すると「(直球を)待っていたというか、体がうまく反応した」と、2ボールから一岡の内角直球を捉えた。一塁走者を一気にかえす右線二塁打が11試合ぶりの適時打となり、空席が目立ち始めた観客席を一瞬沸かせた。

 六回には2死無走者から福井の初球、甘い変化球をはじき返し、ライナーで左翼線へ。打球がダイビングしたロサリオのグラブをかすめると、加速して三塁を奪った。得点にはつながらなかったが、和田監督を抜く球団史上単独6位となる43本目の三塁打でチャンスメーク。チーム唯一の長打を2本連ね、せめてもの抵抗を示した。

 四回に内角直球をたたいた中堅後方への大飛球は丸の好守に阻まれたが、会心の打球。このカード初戦、2戦目と無安打に封じられていた主将の打撃が復調の兆しを見せた。

 能見が15年の初勝利を挙げた4月18日の巨人戦(甲子園)、今季19試合目で異変が明るみになった。試合前の屋外練習に鳥谷が姿を見せず、1人で室内練習場にこもってバットスイングしていた。和田監督、平田ヘッドコーチは「故障?問題ないよ」と、その理由を明確にしなかったが、脇腹に痛みを抱えていた。開幕から10試合を打率・310と好スタートを切ったが、次第に下降線をたどった。本人が因果関係を口外することはないが、代役を要さない肉体が悲鳴を上げていた。

 走攻守で制限なくプレーする信念は何時も崩さない。前日の広島戦で連続試合出場を1500試合に伸ばし、12年開幕戦から継続する連続試合フルイニング出場はこの日で467に達した。土のグラウンドを本拠にする遊撃手だから、この数字は尊い。鉄人鳥谷の上昇曲線がチーム再浮上の鍵を握っている。

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