呉、初イニングまたぎ!鬼迫エルド斬り
「広島2-1阪神」(13日、米子)
阪神・呉昇桓投手(31)が来日初のイニングまたぎだ。1‐1の延長十回2死満塁で救援マウンドに立つと、エルドレッドを空振り三振。十一回1死一、三塁のピンチも無失点で切り抜けた。チームは十二回にサヨナラ負けを喫し、地方球場の連勝は9でストップ。それでも、石仏の剛球に米子の虎党は熱狂した。
見る者すべての心を揺さぶった。広島打線の猛攻を何度もせき止めた、その姿。どんな窮地に追い込まれようとも、呉昇桓の牙城は崩れなかった。絶体絶命のピンチからイニングをまたぎ、最終回まで味方打線に反撃のバトンをつないだ。
「抑えられるのはスンファンしかいない」。こう語った和田監督がタクトを振ったのは、同点の延長十回2死満塁。四球も許されない過酷な状況で4番・エルドレッドを迎えた場面だ。わずかな時間で肩をつくり、マウンドへ上がるとオール石直球で空振り三振。ピンチを脱したが、首位に立つ相手の勢いはここで止まらない。
続く十一回、1死から広島のルーキー・田中に中越え三塁打を浴びた。これが自身、登板11試合ぶりの被安打で、絶体絶命の窮地。それでも右腕は表情をピクリとも変えなかった。「少しは頭にあった。手に持ち替えたら間に合わない」と一、三塁から石原のスクイズを懸命にグラブトスで阻止。2死一、二塁となり、最後は中東を再びオール直球で空振り三振に仕留めた。
来日初のイニングまたぎも「今までやってたことなんで準備は常にしていた」。大きな歓声をバックに降板する身長180センチに満たない右腕が、とてつもなく大きく映えた瞬間だった。「韓国国民、全員があなたを応援しています」。阪神移籍が決まった直後、サムスンとは違う球団のファンから、路上でこんな言葉をかけられた。
サムスンでもチームの勝利のために連投もイニングまたぎも辞さず、懸命に腕を振ってきた。右肘に古傷を抱えていようが関係なかった。その姿が人々の心を打ち、他球団のファンからも愛されていた。この日の投球を見れば、その事実にも納得がいく。
だが守護神の奮闘もむなしくチームは負けた。勝負手を打って敗れたダメージはとてつもなく大きい。呉昇桓は「自分が抑えてもチームが勝たなければ何の意味もない」。2戦目、14日の勝敗は今後の行方を大きく左右しかねない。そして勝利の瞬間以外、守護神が報われるものは何もない。
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