「ＷＢＣ強化試合、阪神１‐０日本代表」（２６日、京セラ）

　迷いはなかった。打球音が響くと一直線に駆け出した。ゆっくりと宙を舞った打球を追い、落下点を見極めて最後は確信のダイブ。「捕れると思ってました」。離すことなく白球をグラブに収めた侍ジャパンの鳥谷に、スタンドから拍手と歓声が注がれた。

　序盤から堅実な守備を続けていた中で迎えた、七回１死無走者の場面だった。コンラッドがバットを折りながらはじき返した二塁後方への打球に対し、体を目いっぱい伸ばしたダイビングキャッチで好捕。この日、バットは４打数無安打だったが、守備時に訪れた見せ場を逃さなかった。

　「（二塁の守備は）まだ考えながらやっていかないと」と鳥谷。本職ではない二塁でも違和感は感じさせない。この日、当初は三塁でスタメン予定だったが、松井の欠場の影響で「２番・二塁」でスタメン出場することに。二塁だけでなく三塁でもレギュラーとして出る可能性もあり、首脳陣の評価は高い。

　この日は阪神の選手ということもあり、誰よりも歓声を浴びた。練習ではキャンプ中に「開き直ってやれ」とＷＢＣに向けたアドバイスを受けていた福留と談笑。スタメンとしては二塁、三塁で計算されている状況に「（難しさとか）そんなことは言ってられない。しっかり準備したい」と力強く話す。確かに輝く存在感。白球と共に仲間からのさらなる信頼感をもつかみ取った。