【野球】なぜ3割打者が減少傾向にあるのか セ・パで5人 投高打低が顕著な令和のプロ野球 評論家が指摘する3つの理由

 セ・パ両リーグの打撃30傑を見ると、今年も過去2年と同じく3割打者の数が少ないことに気づく。9日現在で打率が3割を超えているのは、セ・リーグでは・339のサンタナ(ヤクルト)、・306の細川(中日)の2人で、パ・リーグでは・317の近藤、・315の周東、・308の柳田のソフトバンク3人衆のみと、両リーグ合計でわずか5人なのだ。

 3割打者は2020年に12人、21年も11人と2桁を数えたが、22年が6人、昨年も5人と顕著な減少傾向にある。一体、どんな理由があるのだろうか。

 阪神OBの中田良弘氏は「一番大きなポイントは、ピッチャーの真っすぐのスピードが年々上がっていることだろうね。今の野球では150キロを超えて当たり前で、150キロ中盤を超えないと『速っ!』と言われなくなってきている。いろんなバッターに話を聞いても、打ちにくい理由の一番にストレートの球速アップを挙げるからね」と指摘した。

 また、投手の分業化が確立されていることも理由のひとつに挙げられる。中田氏は「先発がだいたい100球前後で交代する傾向があって、どんどんフレッシュなピッチャーが登板してくるから、対応するのが難しくなってくるよね」と語った。

 直球の球速アップに加え、ツーシーム、カットボールに代表される速い横の変化が増えたことも、打者を苦しめる要因になっている。中田氏は「昔に比べると球種が増えた。特に速い変化球が。バッターからすればマークしなきゃいけない球が増えたことによって、バットの芯を外される確率も上がってきている」と分析する。

 さらに、近年は球速、ボールの変化量、回転数、回転軸などを計測するトラックマンやラプソードの計測機械が導入され、自らのデータが『見える化』されたことで、投手が自らの弱点を修正、克服しやすくなっている環境がある。また、相手打者の打球方向なども全てデータ化、数値化されてきているのも投手有利に働いている。

 中田氏は「もちろんバッターも対戦数を重ねる中で毎年バージョンアップしてくるんだけど、今のところは投手側がアップデートするスピードに追いつけていないのかなという感じだね。もうしばらくは投手有利の時代が続くのかな」との考えを示した。

 球速アップ、球種増だけでなく、走者不在時のクイック投法や2段フォームなど、常に受け身の打者が投手の進化に対応するのが難しくなってきているのは確か。2リーグ分立後に打率3割を切って首位打者になった選手はいないが、3割打者が『絶滅危惧種』に指定される日が、徐々に近づいているのだろうか。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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