虎ドラ1左腕は“今中タイプ”

 来季10年ぶりのリーグ優勝を目指す阪神に、今秋ドラフト会議で指名を受けた新人5選手が入団した。ドラフト1位の横山雄哉投手(新日鉄住金鹿島)は「外れの外れ1位」での指名だった。だが、ロッテも1位指名を検討していた好素材。1年目からローテ入りが期待される上に、まだ20歳で伸びしろが大きい左腕だ。

 山形中央では2年時にエースとして春夏連続で甲子園に出場。プロ志望届を提出したが指名はなく、卒業後は社会人の新日鉄住金鹿島に入社した。

 3年間、強豪でもまれると才能は徐々に開花。身長182センチから放たれる角度のある直球が最大の武器で、変化球はカーブ、スライダー、フォーク、カットボールを操る好投手へと成長した。

 高校時代も横山の担当だった中尾孝義スカウトは「高校の時は変化球投手だったけど、社会人の3年間で球が速くなって成長した。来年にでも先発ローテに入る可能性がある。20歳だし、性格が子供っぽいところがあるけど、その辺りが大人になってくればまだまだよくなる」と期待を込める。

 また、現役時代は中日、巨人、西武でプレーした同スカウトは「今中慎二くん(現野球評論家)と重なる」と、93年に最多勝と最多奪三振の投手2冠に輝いた左腕を引き合いに出した。

 今中氏は現役時代、キレのある直球と、変化が大きいスローカーブで一時代を築いた。横山は制球や変化球には課題を残すが、直球の球威やキレは現役時代の今中氏をほうふつとさせる。

 11月の第1回21Uワールド杯でその才能の片りんを見せた。1次ラウンド・オーストラリア戦は中継ぎで3回無安打無失点、5者連続三振を含む8三振を奪った。1次ラウンド・ニカラグア戦は5回8三振。優勝決定戦・台湾戦では、自己最速を4キロも更新する151キロを記録して2回4三振だった。登板した3試合で10回20三振。そのうち16三振を奪ったのが直球だった。

 情報収集のためスタンドで視察した、あるメジャー球団のスカウトは「彼の投球を見るのは高校時代以来ですが、3年間でかなり体が大きくなっています。特に下半身。素晴らしい直球を投げますね」と山形中央時代からの成長ぶりに驚いていた。

 来季、阪神の左腕では能見、岩田はアクシデントがない限り先発ローテが確実だ。岩崎、岩貞らがその次の座を狙っており、横山はいきなり激しい競争に臨むことになる。もし、ドラ1左腕が先輩らに割って入ることができれば、阪神の先発陣は左腕王国となるはずだ。

(デイリースポーツ・西岡 誠)

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