ハリル監督が見る五輪とサッカーの関わり方 欧州では「あまり野心を持っていない」

 地球の裏側で、リオデジャネイロ五輪が始まった。日本時間の6日午前、ブラジルらしい極彩色に彩られた開会式の映像がテレビから流れてきた。五輪開幕の直前の4日朝、サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が成田空港着の航空機で再来日。フランス人の指揮官は、スポーツの祭典とも呼ばれる五輪をどう見ているのだろうか。

 「五輪には出たことがないが…」と切り出すと、「私はW杯や、欧州選手権、欧州CLには出たことがある。おそらく五輪は、人生でこれに出られたら素晴らしいと思えるようなスポーツ全体の祭典だ」。旧ユーゴスラビア出身。サッカー選手というアスリートの一面を持ちながら、母国の内戦など複雑な環境を過ごした背景を感じさせた。一方で「W杯は(サッカーを愛する人々による)愛情を持つ大会。だが欧州の人々は、五輪サッカーというものに、あまり野心を持っていない」とも語った。

 現在、五輪のサッカー男子競技においては、原則として23歳以下でチームを組み、そこに24歳以上の選手を最大3人まで加えることを認めている。ただ、サッカー競技の国際団体である国際サッカー連盟(FIFA)は、選手派遣を強制してはいない。サッカー男子日本代表も、22歳のFW久保裕也(スイス、ヤングボーイズ)を一時はメンバーに選びながらも、最終的には所属クラブが招集に関する拒否権を行使して、大会直前にメンバーから外れるという事態になった。

 日本代表、そして何より久保自身の無念さは心中察するにあまりあるが、この一件に関して、所属クラブ側はルールを逸脱した行為はしていない。感情論を排除すれば、久保を貴重な戦力として招集を拒否したヤングボーイズの判断は間違っていない。ハリルホジッチ監督は「良い選手を呼びたいのであれば、FIFAがルールを変えないといけない。例えば、A代表では(FIFAが定める国際Aマッチウィークでは)監督に(選手を呼ぶ)権限がある」と話した。

 現在のサッカー界で23歳以下というのは、世界的には“若手”ではなく、代表チームでは次世代を担う新星で、クラブレベルでは今後のクラブ経営を左右するような存在に当たる。サッカーにおいては、世界的なイベントである4年に一度のW杯を頂点に、U-20(20歳以下)W杯など、既に各年代別の世界大会が存在している。

 世界中の国々が参加する五輪において、サッカー競技は人気も高く、商業的にも魅力的なコンテンツだと思う。96年のアトランタ五輪から現行ルールにおける年齢制限が施行されたように、今後の五輪とサッカーの関わり方について、改めて考える必要があるのかもしれない。(デイリースポーツ・松落大樹)

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