三宅、父超え銀!親子メダリスト実現

 「ロンドン五輪・重量挙げ女子48キロ級」(28日、エクセル)

 重量挙げ女子48キロ級で、3度目出場の三宅宏実(26)=いちご=がスナッチ87キロ、ジャーク110キロのトータル197キロで日本新記録をマークし、銀メダルに輝いた。重量挙げの日本女子では初のメダル獲得で、メキシコ五輪3位の父義行コーチ(66)と親子メダリストになった。初出場の水落穂南(平成国際大)はスナッチ80キロ、ジャークは自己新の96キロを挙げ、176キロで6位に入賞した。

 自然と頬が緩んだ。3度目の五輪で、義行さんが取った銅メダルより、一つ上の銀を手にした。「本当に実感がない。この夢の舞台でメダルをかけている」。三宅の笑顔が輝いた。

 「今、生きてバーベルを挙げられることに感謝したい」。東日本大震災で被害に遭った人々への思いを込めてきた。義行さんは宮城県生まれ。出身地の村田町は内陸にあるため津波の被害はなかったが、実家は屋根の瓦が落ち、ビニールのシートで応急処置を施した。周囲の道路はでこぼこ。昨年4月、光景を目にした三宅は「言葉を失った」と胸を痛めた。

 5月。三宅と義行さんは合宿でお世話になったこともある宮城県柴田農林高校を訪れた。同校には、津波で校舎や校庭が被害を受けた沿岸部の宮城農業高校の生徒が、校舎を間借りして授業を受けていた。2人は訪問前に被災した生徒200人以上の足のサイズを調べ、それぞれに合った運動靴を用意。タオル、Tシャツ各350枚とともに届けた。

 被災した高校生との会話で「寒い時期は地震や津波を思い出して恐怖心が募る」との言葉が忘れられない。自身は埼玉県で生まれ育ち、被災地代表ではない。それでも「五輪でいい結果を出して、少しでも被災者の励みになれば」と願い、会心の試技で体現した。

 義行さんが40歳のときに生まれ、その年、元阪神のバースと、ロッテの落合博満がそろって三冠王になったことにちなんで、「(三)宅宏実」とウ冠が三つになるように命名。中学から台所でバーベルを握っていた逸材が表彰台に上り詰め、父を超えた。

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