【宝塚記念】ゴールド史上初連覇達成

 「宝塚記念・G1」(29日、阪神)

 初コンビの横山典を背に、好位で折り合った1番人気のゴールドシップが、直線で抜け出し、悠々と3馬身差でゴール。01年のテイエムオペラオー(2着)など、幾多の名馬がなし得なかった、史上初のレース連覇を達成した。G1・5勝目となった芦毛の怪物は、凱旋門賞挑戦も視野に入れ、さらなる栄光を目指す。人気を分け合ったウインバリアシオンが7着、ジェンティルドンナが9着に敗れ、3連単は25万超えの高配当となった。

 長い間、閉ざされていた歴史の扉を、ついにこじ開けた。55回目を数える宝塚記念。これまで1頭も成し遂げたことのない連覇という偉業を、ついにゴールドシップが達成した。

 ファン投票1位のエールを力に変え、黄金の脚が再び直線で輝きを放つ。抜け出していたヴィルシーナの外から、刃を一閃(いっせん)。白さを増した馬体を弾ませ、一気に全てをのみ込んだ。

 引き揚げてきた横山典は、出迎えた須貝師と固い握手を交わして、ゴーグルの奥の瞳に優しさを宿らせる。「最後まで“お願いします”“頑張ってほしい”という気持ち。直線は内(の馬場)が悪くて、伸びている感じはしなかったので、必死だった。本当によく走ってくれました」

 復権という命を受け、手綱を託された職人は、時間の許す限り新たなパートナーとコンタクトを取ってきた。3週連続して追い切りにまたがって信頼関係を構築。絆を深めることに心を砕いてきた。

 人馬の出会いはある意味、必然だったのかもしれない。24年前。ゴールドシップの祖母パストラリズムを初勝利へと導いたのはデビュー5年目、まだ22歳の横山典だった。血が引き寄せた勝利。そう言ってもいいだろう。

 スタートは決して良くなかったが、スタンド前を通過しながら、自然体でポジションを上げることができた。「まともにさえ走ってくれれば…。考えていたのは、もうそこだけでした。メジロライアンで(91年の宝塚記念を)勝った時くらいにうれしいです」。パドックでまたがった瞬間に、たて髪、首筋をたたいた。人馬は会話を交わしながら戦い、そして偉業達成につなげた。

 「ノリちゃんとゴールドシップ。人馬一体というのはこのことかな、と思いました」。そう振り返った須貝師は、愛馬の今後については明言を避けた。1次登録を済ませている凱旋門賞・仏G1(10月5日・ロンシャン)へとかじを切るのか。あるいは国内に…。どちらにしてもこの日つかんだ羅針盤が、光に満ちたゴールへと導いてくれるに違いない。

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